2012 Fiscal Year Annual Research Report
GPCRを標的とする天然物リガンドの網羅的探索
Publicly Offered Research
Project Area | Chemical Biology using bioactive natural products as specific ligands: identification of molecular targets and regulation of bioactivity |
Project/Area Number |
24102522
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
奥野 利明 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60361466)
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Project Period (FY) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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Keywords | GPCR / エイコサノイド / 生理活性脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
N末端にHAもしくはFLAGタグを付加した複数のオーファンGPCRのcDNAを、強力なCAGプロモーターで遺伝子を発現させるpCXN2ベクターに組み込んだ。CHO細胞にタグ付きのGPCR発現ベクターをトランスフェクションし、薬剤耐性細胞を樹立後、N末端のタグ配列を認識する一次抗体と蛍光色素ラベルした二次抗体で染色し、セルソーターを用いてGPCR高発現細胞を回収した。これらの細胞は細胞内カルシウム上昇やcAMPアッセイに使用する予定である。またTGFα切断アッセイを用いたGPCR活性化の網羅的検出法を我々の研究室で確立した。TGFα切断アッセイは、HEK293細胞が内在性に発現しているプロテアーゼ活性を有するADAMが、PKCやRockによって活性化され、Pro-TGFαを切断し、TGFαを細胞外に遊離する原理を利用している。このアッセイ法を用いることで、より広範なGPCRの活性化を検出することができる。TGFα切断アッセイ法を用いて、生体試料を用いたオーファンGPCRの天然リガンドの同定を試みた。マウスの臓器を摘出し、クロロホルムとメタノールを用いたBligh&Dyer法で脂質画分を抽出した。この脂質成分を用いていくつかのGPCRをアッセイしたところ、予想される画分で活性化されることを見出した。今後、より網羅的なアッセイを行うことで、未知の新しい生理活性脂質の同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたオーファンGPCRの発現ベクターの作製はほぼ完了した。またCHO細胞の安定発現細胞の作製も完了しており、迅速なリガンド同定が可能な状態にある。さらに、TGFα切断アッセイを用いたオーファンGPCR活性化の網羅的検出法をほぼ完全に確立することができた。現在、この実験系を用いて、生体試料を用いたオーファンGPCRの天然リガンドの探索を試みており、複数のオーファンGPCRが脂質画分に応答することを見出している。
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Strategy for Future Research Activity |
オーファンGPCRのリガンド活性が見られた臓器抽出物を、HPLCを用いて分離・精製し、GPCR活性化能を指標に活性画分を同定する。高純度の活性画分が得られたら、質量分析計とNMRを用いて構造を決定する。有機合成により推定した構造のリガンドを合成し、受容体活性化能をカルシウムアッセイ、cAMPアッセイ、zif268ルシフェラーゼアッセイとTGFα切断アッセイで検証し、標的GPCRの真の内在性リガンドであることを明らかにする。さらにGPCR発現細胞の膜画分を用いたGTPγS結合実験やCOS-7細胞に一過性発現させたイノシトールリン酸の蓄積実験で確認する。また天然物リガンドをフラグメントに分けて合成し、GPCR活性化能を検討することで標的GPCRの活性化に必要な鍵となる構造を明らかにする。
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Research Products
(12 results)