2013 Fiscal Year Annual Research Report
超流動ヘリウム3中のトポロジカルオブジェクトの制御と創出
Publicly Offered Research
Project Area | Topological Quantum Phenomena in Condensed Matter with Broken Symmetries |
Project/Area Number |
25103712
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
佐々木 豊 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (60205870)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 超流動ヘリウム3 / 周波数分解MRI |
Research Abstract |
本研究計画では、(イ)周波数分解MRIの測定技法を確立する、(ロ)超流動ヘリウム3のテクスチャーとトポロジカルオブジェクトの可視化を行う、(ハ)流れ場の可視化、(ニ)超流動ヘリウム3のテクスチャー内部に現れるトポロジカルオブジェクトの生成と消滅や流れ場等による変形のダイナミクスならびに制御の可能性などについて研究する、という大きな目標を立てた。平成25年度は100ミクロンのギャップを持つ平行平板1枚に閉じ込められた形状の超流動ヘリウムが持つ均一テクスチャーとその中に偶発的に生成されるカイラルドメインウォールからNMR信号を検出するためのサンプルセルを用いて実地テストを行い、2mKに冷却した超流動ヘリウム3から、均一テクスチャーに対応する空間均一な周波数シフトの分布を静磁場の十万分の一の精度で周波数分解MRI測定し可視化することに成功した。非線形磁気応答を示す超流動ヘリウム3からの周波数分解MRI測定の実施は世界初の快挙である。その後、超流動転移温度を高速通過することによりドメインウォールを生成する技術開発を行ない、ドメインウォールからの微弱なNMR信号を検出することで、ドメインウォールが準安定状態として長時間存在しうる事を確認した上で、周波数分解MRI測定によりドメインウォールの空間構造を検出する事を試みた。ドメインウォールそのものの安定化には成功したが、残念ながら測定の分解能不足でクリアに周波数分解MRI画像を取得するにはいたらなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標に向かって着実に進歩を遂げている。世界初の超低温における周波数分解MRI測定の実証は特筆すべき成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
ドメインウォール検出に向けて分解能を向上するための改良を行う。また、同時にドメインウォールを制御するためのスーパーフローの誘起法を開発する。また、長時間測定を可能とするため液体ヘリウムの蒸発率を少なくするための改造も行なう。これらの改良ののちに、再び冷却して目標達成にむけた実験を行う。
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