2014 Fiscal Year Annual Research Report
ユビキチン化による鉄代謝制御システムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | New aspect of the ubiquitin system : its enormous roles in protein regulation |
Project/Area Number |
25112517
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西山 正章 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50423562)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 鉄代謝 / ユビキチン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はユビキチン化による鉄代謝制御メカニズムの全貌を解明すると共に、発がんや神経変性疾患などの鉄代謝関連疾患にこのシステムがどのように関与しているのかを明らかにすることを目的とした。肝臓においてFBXL5を欠損させると、鉄過剰に起因する活性酸素の産生により発がんが強力に促進されるが、その形質はIRP2の二重欠損で回復することから、鉄代謝異常が肝がん発症に重要であることが遺伝学的に証明された。また神経特異的にFBXL5を欠損させたマウスでは神経前駆細胞の増加を生じるが、鉄の蓄積による活性酸素を介したシグナル伝達系の撹乱によって、mTORシグナルが異常に活性化することがその主要な原因であることを突き止めた。さらに造血幹細胞特異的FBXL5ノックアウトマウスは、5-FU投与による骨髄障害時の血球系細胞の回復が遅延し死亡率が高まることから、細胞内鉄代謝制御の破綻した造血系は機能的に脆弱であることが示された。FBXL5を欠損した造血幹細胞の骨髄再構築能が障害されている原因として、ストレス環境下における造血幹細胞の活性化が障害されていることが考えられた。更に、これらの異常に対してユビキチン化による鉄代謝制御システムがどのような分子メカニズムで関与しているのかを明らかにするため、FBXL5を分解する未知のユビキチンリガーゼの探索を行った。高感度質量分析計を用いた解析から、低鉄濃度条件下でFBXL5により強く結合する16個のユビキチンリガーゼおよび74個のユビキチン関連タンパク質の同定に成功しており、現在これらの評価実験を進めている。これらの結果から、FBXL5-IRP2系による鉄代謝制御は発がん、神経発生、造血幹細胞の機能維持において重要な働きを担っていることが明らかになったのと同時に、細胞内鉄代謝制御システムのより深い分子メカニズムの理解と悪性腫瘍や神経変性疾患、血液疾患などへの治療応用が期待される。
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Research Progress Status |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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Strategy for Future Research Activity |
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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