2013 Fiscal Year Annual Research Report
細胞創傷治癒機構におけるユビキチンの役割
Publicly Offered Research
Project Area | New aspect of the ubiquitin system : its enormous roles in protein regulation |
Project/Area Number |
25112520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
河野 恵子 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30632723)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 細胞質分裂 / ガン / 細胞骨格 / タンパク質分解 / リン酸化 |
Research Abstract |
外界との境界である細胞膜が保たれることは細胞の生存に必須であり、細胞膜の損傷を修復する細胞創傷治癒機構は進化的に保存されている。細胞膜が損傷を受けると、傷の周りにアクチン繊維、V 型ミオシン、Rho 型GTPase 等が集まり、細胞質分裂期の分裂リング収縮によく似たメカニズムで膜修復が行われる。この機構に欠損があるとデュシェンヌ型筋ジストロフィー症を発症することが知られているが、詳細な分子メカニズムは明らかにされていない。 細胞創傷治癒機構を包括的に理解する目的で、出芽酵母の非必須遺伝子を網羅的に破壊した破壊株ライブラリー、そして必須遺伝子のmRNA量を減少させたDAmPライブラリーを用いて、細胞創傷治癒機構に欠損のある変異株を網羅的に単離した。その結果、ポジティブコントロールであるユビキチン・プロテアソーム系の因子を始め、高等真核生物において細胞創傷治癒に関与することが分かっているERやゴルジの制御因子などを含む108の遺伝子が細胞創傷治癒に関与するものとして同定された。 これらの遺伝子の中には数多くのユビキチン関連因子が含まれ、K48ポリユビキチン鎖が重要な役割を果たすタンパク質分解経路、K63ポリユビキチン鎖が関与する膜輸送の経路、さらにはK63モノユビキチンが利用されるDNA損傷修復関連因子など、一つの種類のユビキチン鎖にとどまらず、多様なユビキチン修飾が細胞創傷治癒に必要であることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞創傷治癒に関与するユビキチン鎖の種類を明らかにするために、出芽酵母の強力な遺伝学を利用して網羅的なスクリーニングを行った結果、当初の計画立案時には予想しなかった、多様なユビキチン鎖の関与が示唆された。来年度はさらに詳細な生化学的・細胞生物学的解析を進め、細胞創傷治癒における各々のユビキチン鎖の役割や制御について明らかにすることを目指す。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでに、細胞創傷治癒機構は少なくとも(1)成長点への細胞極性の消失(2)損傷部位への新たな極性の確立(3)修復(4)成長の再開、という4つの段階からなることが明らかになっていたが、今年度の解析結果により、さらに「細胞周期の一時停止」「DNA合成の一時停止」「細胞周期及びDNA合成の再開」という段階が存在することが見出されている。そこで来年度は、多様なユビキチン鎖が細胞創傷治癒機構のどの段階に重要かを明らかにしていく。
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Research Products
(7 results)