2014 Fiscal Year Annual Research Report
「ゆらぎと構造の協奏」から見た量子乱流
Publicly Offered Research
Project Area | Synergy of Fluctuation and Structure:Foundation of Universal Laws in Nonequilibrium Systems |
Project/Area Number |
26103526
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
坪田 誠 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (10197759)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 物性理論 / 量子乱流 / 非線形動力学 |
Outline of Annual Research Achievements |
非平衡の世界の普遍性を、低温物理学の視点から、量子流体を舞台に追求することを目標とする。歴史的には、超伝導や超流動、ボース・アインシュタイン凝縮(BEC)などを対象とした低温物理学の研究の大半は、平衡状態もしくはその近傍で行われてきた。非線形・非平衡物理学の観点からの研究はほとんど無い。ここでは、低温物理学における重要テーマの一つである量子乱流を、非線形・非平衡物理学の観点から、理論的および数値的に研究する。今年度の主な成果は以下である。1.超流動ヘリウム中で振動球が作る量子乱流とそこから放出される渦輪の統計則: 近年、超流動ヘリウムの分野では、振動物体が作る量子乱流の研究が盛んに行われている。我々はこの問題に対し、量子渦糸モデルによる数値計算を行って来た。本年度は、大阪市大グループの実験に関連して、振動球が形成する量子乱流と、そこから放出される渦輪の統計量、特にサイズ分布と、放出方向の異方性について、調べた。2. スピノールBECにおけるスピンと超流動が結合した乱流状態: スピン1のスピノールBECのスピン乱流について研究して来た。これまではスピンの自由度のみに注目して来たが、この系は本来超流動の自由度も持つ。それについて調べたところ、スピンと超流動の層が乱流となった、スピンー超流動の結合乱流が実現していることがわかった。運動方程式に対するスケーリング解析と数値計算により、エネルギースペクトルの特有なべき則を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以前から継続している、量子乱流の研究は順調に進展し、成果も出ている。計画班の構成員との協力による、量子流体を舞台とした臨界現象の研究を、開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
従来の量子乱流の研究は、そのまま進める。特に今年度は、第1に、非一様量子乱流の研究を進める。超流動ヘリウムの熱カウンター流における最近の可視化実験は、常流体の非一様性を明らかにしてきた。このような非一様な常流体がどのような量子乱流を生むかを調べる。第2に、BECにおける波乱流の研究を行う。量子乱流の臨界現象の研究は、引き続き、鋭意進める。
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