2014 Fiscal Year Annual Research Report
オートファジー関連因子による自然免疫応答の制御
Publicly Offered Research
Project Area | Multidisciplinary research on autophagy: from molecular mechanisms to disease states |
Project/Area Number |
26111514
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
齊藤 達哉 大阪大学, 微生物病研究所, 准教授 (60456936)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オートファジー / 自然免疫 / 炎症 / オルガネラ / 感染防御 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞内分解機構オートファジーは、飢餓の際には細胞内成分の再利用を促進し、またオルガネラが損傷した際にはその排除を行うなど、ストレス環境下において細胞恒常性を維持する役割を果たす。自然免疫は細菌やウイルスなどの病原体に対する感染防御機構であるが、一方で自然免疫は炎症性因子の産生を誤って誘導することにより組織損傷を引き起こして疾患発症要因となる負の側面も有している。これまでの研究から、オートファジー不全に陥った自然免疫担当細胞が炎症性因子を過剰産生し、炎症性疾患の発症を惹起することを見出している。そこで、オートファジーによる自然免疫制御の分子機序の解明に取り組んだ。解析の結果、以下の2点が明らかになった。(1) リポ多糖などの菌体成分の刺激により好中球からのNeutrophil extracellular traps (NET)の産生が誘導されることが知れているが、ヒト膵アミロイドポリペプチド(hIAPP)などの自己成分によってもNETの産生が誘導されることが明らかになった。NETの産生には、NADPHオキシダーゼを介して産生された活性酸素種によりアズール顆粒の膜が損傷し、好中球エラスターゼの細胞内漏出が起こることが必須となる。オートファジー不全の好中球は、過剰のNETを産生することが明らかになった。(2) ATG16L1は、基底状態や栄養飢餓状態において誘導されるオートファジーに必須の因子である。しかしながら、リステリアの感染時には、オートファゴソームのマーカーであるLC3がATG16L1欠損細胞において菌の周囲にリクルートされる。また、オートファジーの基質であるp62の分解もATG16L1の存在に関わらず誘導される。よって、ファゴソームが損傷した際にATG16L1を必要としない特殊なオートファジーが誘導される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然免疫応答の制御における新たなオートファジーの役割を見出した。また、ファゴソーム損傷に応じて、新しいタイプのオートファジーが誘導されていることを示唆する実験結果を得た。さらに、これらの研究成果を国内外の学術集会で口頭発表した。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) マクロファージや好中球などの貪食細胞において、損傷したファゴソームやアズール顆粒をオートファジーが除去するメカニズムを解明する。特に、ATG16L1の代わりとして働くオートファジー関連因子の同定に取り組む。(2) NETの産生をはじめとした炎症応答をオートファジーが抑制する病態生理的意義を、遺伝子改変マウスを用いて解明する。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] The parasitophorous vacuole membrane of Toxoplasma gondii is targeted for disruption by ubiquitin-like conjugation systems of autophagy.2014
Author(s)
Choi J, Park S, Biering SB, Selleck E, Liu CY, Zhang X, Fujita N, Saitoh T, Akira S, Yoshimori T, Sibley LD, Hwang S, Virgin HW.
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Journal Title
Immunity
Volume: 40
Pages: 1-12
DOI
Peer Reviewed
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[Journal Article] Role of the mouse and human autophagy proteins in IFN-γ-induced cell-autonomous responses against Toxoplasma gondii.2014
Author(s)
Ohshima J, Lee Y, Sasai M, Saitoh T, Ma JS, Kamiyama N, Matsuura Y, Suh PG, Hayashi M, Ebisu S, Brummelkamp TR, Takeda K, Akira S, Yamamoto M.
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Journal Title
J Immunol
Volume: 192
Pages: 3328-3335
DOI
Peer Reviewed
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