2014 Fiscal Year Annual Research Report
DNA合成に干渉する非コード配列での複製フォーク適応機構の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Functions of non-coding DNA region for genome integrity |
Project/Area Number |
26114714
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
釣本 敏樹 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (30163885)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 複製フォーク / 脆弱配列 / 反復配列 / DNAポリメラーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
非コード領域は、脆弱部位、組換えホットスポット、へテロクロマチン、テロメア、セントロメア等、通常の配列と違う特性を持つ領域で、これらはDNA複製の進行に干渉する。染色体が安定に維持されるには、この領域で複製フォークの機能適応が重要である。本課題ではヒト細胞の非コード配列からDNA合成干渉配列を抽出し、この配列でのヒト複製関連因子の挙動を解析し、複製フォークの機能的適応機構の解明を目的としている。 これまでに、脆弱配列、セントロメア、ウイルス由来の末端反復配列を単離し、出芽酵母YCpベクター、SV40ウイルス複製開始点を持つpcDNAベクターに挿入した。前者では出芽酵母野生株でのプラスミド安定性の測定を行った。いくつかの配列で、安定性への影響を示唆する結果が出たが、十分に有意と言えなかった。これに対して後者DNAについては、SV40T抗原発現のヒト培養細胞に一過的に導入し、複製能を制限酵素DpnIに対する感受性から測定した。その結果、さまざまな非コード配列で、この系の複製における干渉が見られた。 このような複製干渉が見られたヘルペスウイルスの1種の末端反復配列については、このウイルス由来の核抗原は、この末端反復配列に結合するとともに宿主複製因子RFCに強く結合することが報告されている。我々の解析で、核抗原とRFCの結合によって、複製クランプPCNAが効率よく末端反復配列DNAにロードされることを明らかにした。したがって、非コード領域の複製と複製因子の特異的リクルートの間につながりがあることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
用意した代表的非コード配列について、ヒト細胞でのSV40ウイルス複製開始点依存的な複製を使って、複製干渉を解析することが可能になった。 この解析系を使い、ウイルス末端反復配列に複製干渉があることを見いだした。またそのウイルスの核抗原と宿主複製因子RFCの特異的結合を基にして、この反復配列に両者の結合を介した効率よいPCNAのローディングがあることを示した。これは非コード配列の複製干渉に対して複製因子の特異的リクルートが起きることを示唆した重要な知見と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 非コードDNA配列について、ヒト細胞、酵母細胞を使って複製進行の安定性の程度を定量的に進める。これに伴い、複製に関係した変異、薬剤の複製干渉への影響を解析する。 2. 複製干渉の見られた非コードDNA配列について、各ローダー、クランプの結合活性、結合特異性の解析を行い、複製干渉配列への複製因子のリクルートについて関連性を明らかにする。 3. 精製したヒトDNA ポリメラーゼを使い、これら非コードDNA配列上のDNA合成モードを解析する。さらに各クランプ、ローダーを含む各種複製因子存在下でのDNA合成モードの変化を解析する。 これらの解析結果を基にして、特異的複製因子のリクルートによる非コードDNAの複製モードの切り替えについての知見を集め、それが非コードDNA安定性維持に重要であることを示す。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] The POLD3 subunit of DNA polymerase δ can promote translesion synthesis independently of DNA polymerase ζ.2015
Author(s)
Hirota K, Yoshikiyo K, Guilbaud G, Tsurimoto T, Murai J, Tsuda M, Phillips LG, Narita T, Nishihara K, Kobayashi K, Yamada K, Nakamura J, Pommier Y, Lehmann A, Sale JE, Takeda S.
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Journal Title
Nucleic Acids Res.
Volume: 43
Pages: 1671-1683
DOI
Peer Reviewed
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