2014 Fiscal Year Annual Research Report
赤痢アメーバマイトソームの硫酸活性化経路の獲得と寄生適応・病原性との関連性の解明
Publicly Offered Research
Project Area | "Matryoshka"-type evolution of eukaryotes |
Project/Area Number |
26117719
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
見市 文香(三田村文香) 佐賀大学, 医学部, 助教 (70576818)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 赤痢アメーバ / マイトソーム / 硫酸活性化経路 / コレステロール硫酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
赤痢アメーバ(Entamoeba histolytica)は、ヒトの大腸に感染し、アメーバ赤痢を引き起こす寄生原虫である。生活環は栄養型期とシスト期の2つに大きく分かれ、主な感染経路はシストの経口摂取である。赤痢アメーバのミトコンドリアは極端に退化しておりマイトソームと呼ばれている。これまでに我々は、マイトソームの主たる機能が硫酸活性化であること、最終代謝産物が未知の含硫脂質(6種類)であること、そのうちの1つが“コレステロール硫酸(CS)“であることを明らかにした。さらに、CSが、原虫のシスト形成の制御において重要な因子であることを見出している。 CS合成能の役割を明らかにするため、シスト形成能を持つ近縁種の自由生活性アメーバMastigamoeba balamuthiiにCS合成能が保存されているのかを解析した。M. balamuthiiにおいても、ミトコンドリア関連オルガネラに硫酸活性化経路が局在している。しかしながら、M. balamuthiiはCSを含めた全ての含硫脂質の合成能がないことを明らかにした。M. balamuthiiには硫酸基転移酵素が無く、赤痢アメーバの硫酸基転移酵素は遺伝子水平伝播によって獲得したことが系統解析により明らかになった。以上のことから、コレステロール硫酸基転移酵素の獲得が赤痢アメーバの寄生適応に繋がった可能性を考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
シスト形成能を持つ自由生活性の近縁アメーバとの比較により、コレステロール硫酸によるシスト形成の制御が寄生性のアメーバに特異的であることを見出した。コレステロール硫酸はコレステロールから合成されることから、コレステロールが豊富な宿主体内に赤痢アメーバが適応した結果、コレステロール硫酸をシスト形成の制御分子に用いるようになったのではないかと考察することが出来る。このことから、ミトコンドリア関連オルガネラによる含硫脂質の合成能の獲得と寄生適応が結びつく可能性が考えられ、当初の目的1) コレステロール硫酸の機能の解明および3) 近縁種の解析による寄生適応と“硫酸化経路の獲得“の関連性の明確化を既に達成できており、現在論文投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
1) コレステロール硫酸によりシスト形成が制御されることを明らかにした。しかしながらその制御機構については未解明である。制御の分子機構を明らかにする。 2) 近縁種の数を増やし、コレステロール硫酸合成能と寄生適応との関連をより明確化する。 3)赤痢アメーバが合成する含硫脂質は7種類ある。そのうちの一種類がコレステロール硫酸、残り6種類については、3種類が構造は同定済みで機能未知、3種類は構造・機能共に未知である。これら6種類について機能解明をめざす。
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[Journal Article] Direct evidence for the atovaquone action on the Plasmodium cytochrome bc1 complex2014
Author(s)
Siregar JE, Kurisu G, Kobayashi T, Matsuzaki M, Sakamoto K, Mi-Ichi F, Watanabe Y, Hirai M, Matsuoka H, Syafruddin D, Marzuki S, Kita K.
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Journal Title
Parasitology International
Volume: 64
Pages: 295-300
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] An ITAM-Syk-CARD9 signalling axis triggers contact hypersensitivity by stimulating IL-1 production in dendritic cells.2014
Author(s)
Yasukawa S, Miyazaki Y, Yoshii C, Nakaya M, Ozaki N, Toda S, Kuroda E, Ishibashi K, Yasuda T, Natsuaki Y, Mi-ichi F, Iizasa E, Nakahara T, Yamazaki M, Kabashima K, Iwakura Y, Takai T, Saito T, Kurosaki T, Malissen B, Ohno N, Furue M, Yoshida H, Hara H.
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Journal Title
Nat Commun.
Volume: 5
Pages: 3755
DOI
Peer Reviewed
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