Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
19H05809
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 斉 大阪大学, 理学研究科, 准教授 (60400230)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石徹白 晃治 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 准教授 (20634504)
岸本 康宏 東北大学, ニュートリノ科学研究センター, 教授 (30374911)
大谷 知行 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究センター, チームリーダー (50281663)
美馬 覚 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 研究員 (50721578)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥150,930,000 (Direct Cost: ¥116,100,000、Indirect Cost: ¥34,830,000)
Fiscal Year 2023: ¥20,410,000 (Direct Cost: ¥15,700,000、Indirect Cost: ¥4,710,000)
Fiscal Year 2022: ¥20,280,000 (Direct Cost: ¥15,600,000、Indirect Cost: ¥4,680,000)
Fiscal Year 2021: ¥28,470,000 (Direct Cost: ¥21,900,000、Indirect Cost: ¥6,570,000)
Fiscal Year 2020: ¥37,440,000 (Direct Cost: ¥28,800,000、Indirect Cost: ¥8,640,000)
Fiscal Year 2019: ¥44,330,000 (Direct Cost: ¥34,100,000、Indirect Cost: ¥10,230,000)
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Keywords | 低温技術 / 二重ベータ崩壊 / 暗黒物質探索 / アクシオン / 超伝導検出器 / 極低温検出器 / ニュートリノ |
Outline of Research at the Start |
本計画研究は、技術基盤として極低温技術を新たに取り入れることで、ニュートリノを放出しない二重ベータ(0νββ)崩壊探索の検出器の高感度化と暗黒物質探索の範囲拡大を図る。極低温下での温度上昇によるエネルギー測定を行う原理を利用した蛍光熱量計を開発し、0νββ崩壊のQ値領域でエネルギー分解能として20keV以下を実現する。標的材料として極低温下で超伝導状態になったアルミニウムなどを使用し、内部のクーパー対解離を検知することで、O(10eV)の低エネルギー信号測定を目指す。低温技術を利用して、強磁場超伝導共振空胴の開発を行い、通常よりも2桁以上高い共振空胴の増幅度(Q値)を実現する。
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Outline of Annual Research Achievements |
稀事象探索を行うには、宇宙線の少ない地下実験施設で測定を行うと同時に、冷凍機からの放射線バッグラウンドを低減するための放射線シールドが必要不可欠である。2021年3月に希釈冷凍機に低放射能シールドをインストールし、環境放射線バックグランドを低減できること、また100kgを超えるシールドインストール後も冷凍機で極低温環境を、地上実験室にて実現できることを実証した。 地上実験室にて、超伝導センサー(MMC)とCaF2結晶を使用した蛍光熱量計で実施した測定データの解析を行った。熱信号と蛍光信号に一般的な(他の先行する蛍光熱量検出器)蛍光熱量計では観測されない相関が観測され、原因究明を行った。CaF2の発光特性調査を室温にて行い、真空紫外光(~150nm以下)が多く発光していることを確認した。蛍光量の広がりの原因は、真空紫外光の検出量が発光位置に大きく依存することであると特定した。 極低BG実験において興味深い材料であるCaF2 (二重ベータ崩壊核48Caとスピンに依存する核19Fをもち、蛍光検出器という特性を持つ)に超伝導センサーKIDを直接実装するという手法で、基盤をターゲットとしたユニークな検出器を開発し、信号検出に成功した。通常は、シリコンやサファイヤを基盤として使うが、CaF2基盤を使うことによるKIDの有意な性能劣化がないことを確認した。KIDの特徴を最大限生かすには、多重読み出しが重要となる。 空洞開発として、1)超伝導(ニオブチタンNbTiなど)薄膜の利用,2)超低誘電損失材料(セラミックス)の利用を軸に研究を進めた。超低誘電体損失材料の利用では、低誘電損失のアルミナ(100 MHzでのカタログ値tanδ < 10-4)を利用して予備的実験を行ったところ、Q0=1.5x10^2と期待値(Q~10^4)と大きく異なる結果となった。その原因を究明中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響で、2020年2月末に予定していた、韓国標準科学院との共同研究の測定実験が延期となり、2021年度に実施を計画していた。2021年度についても状況改善が見込めないため、現地での実験装置組み立て、測定を断念し、国内での測定環境整備を行い実施を目指すこととなった。 シリコン基板上の両面に実装したKIDセンサーからの信号を読み出す方法の開発を行い、信号の読み出し試験を実施したところ、片面実装の際に読み出せていた信号が出力されないことが分かった。両面からの読み出しのために改造した、強電動素子固定用の治具と素子の間で、熱流出が起こっていることが分析の結果わかり、治具の再設計からやり直すこととなった。 希釈冷凍機の低バックグラウンド化に向けて導入した、低放射能希釈冷凍機用のOVC(Outer Vacuum Chamber)の溶接個所からリークが発生していることがわかり、冷却時にわずかな真空漏れを発生させることが判明した。そのため冷却時到達温度や冷却時間が仕様を満たしていないことがわかり、メーカーによる補修を行うこととなった。 超伝導体を薄膜化することで、超伝導体を貫通している磁束はその厚み分だけジュール熱が減少する。電解研磨した銅表面にNbTi薄膜をスパッタリング蒸着した空洞の製作を行う予定であったが、コロナの影響でNbTiの材料調達に遅れが生じ、薄膜の生成ができなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間の前半までに、希釈冷凍機への低放射線シールドの導入と低温強磁場環境の整備が終了したため、今後の研究計画ではそれらの整備された設備を有効活用し、研究装置(検出器、空洞)の開発を積極的に推進する。地下実験施設への極低BG希釈冷凍機のインストールに向けて、クリーンルームの整備、電力、冷却水などの確保を行う。 CaF2結晶を使った蛍光熱量検出器の開発を引き続き行う。エネルギー分解能を目標性能まで改善するために、CaF2結晶固有の特徴である、熱量と蛍光量の位置依存性の調査を深める。事象発生位置の情報を取得し熱信号を補正するため、新しい検出器のセットアップとして、単一結晶に複数のMMC熱センサーと、結晶の両端から蛍光を検出する機能を実装したCaF2検出器の設計製作と測定を国内の実験設備で実施することを目指す。 超伝導センサーKIDを実装した検出器の放射線応答を正確に測定するために、放射線源や光の照射試験を進める。低エネルギー閾値を実現するために光検出用のKIDの開発を加速させる。 超伝導薄膜(NbTi薄膜など)と超低誘電損失材料(セラミックスなど)を利用して、高いQ値の空洞の実現を目指した研究開発を継続する。ターゲットとしては、NbTi焼結材を用いたものと、NbTi板材を用いたものを調達し、無酸素銅の表面へスパッタリング製膜を行う。 超低誘電体セラミックスを用いた空洞開発では、低誘電損失アルミナの空洞で測定したQ値が期待値の約1/50倍程度になった原因を調査する。また、高純度アルミナ結晶(サファイヤ)を作成する共同研究を、新たに東北大学金属材料研究所と開始する見通しであり、これまで購入不可能であったサファイヤ単結晶での空洞作成に着手する。
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