細胞競合の普遍的制御分子の同定とその動作機序の解明
Project Area | Understanding multicellular autonomy by competitive cell-cell communications |
Project/Area Number |
21H05285
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (III)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤田 恭之 京都大学, 医学研究科, 教授 (50580974)
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Project Period (FY) |
2021-09-10 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥128,830,000 (Direct Cost: ¥99,100,000、Indirect Cost: ¥29,730,000)
Fiscal Year 2024: ¥22,620,000 (Direct Cost: ¥17,400,000、Indirect Cost: ¥5,220,000)
Fiscal Year 2023: ¥22,750,000 (Direct Cost: ¥17,500,000、Indirect Cost: ¥5,250,000)
Fiscal Year 2022: ¥22,620,000 (Direct Cost: ¥17,400,000、Indirect Cost: ¥5,220,000)
Fiscal Year 2021: ¥37,960,000 (Direct Cost: ¥29,200,000、Indirect Cost: ¥8,760,000)
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Keywords | 細胞競合 / 接触阻害 / 多細胞生命システムの自律性 / synNotchシステム / 空間オミクス解析 |
Outline of Research at the Start |
細胞集団内に生まれた異常細胞や変異細胞は、細胞間相互作用を介した細胞排除現象である「細胞競合」によって集団から排除される。本計画研究では、がん原性変異に加えて代謝異常、細胞老化など様々な機能低下・異常細胞と正常細胞との細胞競合へと研究対象を拡大し、様々な細胞競合の勝者・敗者の境界面で普遍的かつ細胞競合特異的に機能する分子群をsynNotchシステムおよび空間オミクス解析により網羅的に同定する。これにより、細胞競合の普遍的制御分子群を同定し、その動作機序を解明することで、細胞競合の普遍的メカニズムを理解を深めるとともに、細胞競合による多細胞生命システムの自律性の生成メカニズムの解明に迫る。
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Outline of Annual Research Achievements |
細胞集団内に生まれた異常細胞や変異細胞は、細胞間相互作用を介した細胞排除現象である「細胞競合」によって集団から排除される。藤田らはこれまで、哺乳類培養細胞やマウスモデルにおいて正常上皮細胞層中にがん原性変異が生じた際、隣接する正常細胞との間で細胞競合が生じ、変異細胞が管腔側への逸脱や細胞死によって除去されることを見いだしてその機構を解明してきた。一方、藤田や本領域代表者の井垣らによる最近の研究から、細胞競合のトリガーはこれまでの想像以上に多様であることが見えてきた。そこで本計画研究では、がん原性変異に加えて代謝異常、細胞老化など様々な機能低下・異常細胞と正常細胞との細胞競合へと研究対象を拡大し、様々な細胞競合の勝者・敗者の境界面で普遍的かつ細胞競合特異的に機能する分子群を同定する。これにより、細胞競合の普遍的制御分子群を同定し、その動作機序を解明することで、細胞競合の普遍的メカニズムを理解する。さらに、得られた分子群について種々の細胞競合モデルマウスを用いた生体レベルでの解析を行うとともに、領域内共同研究を通じて細胞競合による多細胞生命システムの自律性の生成メカニズムの解明に迫る。また多細胞生命体の細胞間コミュニケーションを司る重要なプロセスの一つである接触阻害についても研究を進める。これまでの研究で、接触阻害と細胞競合という二つの異なるプロセスが共通の分子メカニズムで制御されていることを示唆するデータを得ている。これらの研究を進めることによって、多細胞生命体の恒常性機構の本態に対する理解を深化させることを目指す。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)新規細胞競合培養系の確立 ショウジョウバエにおいては、リボゾームタンパク質をコードする遺伝子変異(minute)によるタンパク質合成能の低下が細胞競合を引き起こすことが知られていた。一方で、同様の現象が哺乳類でも起こるかについては、検証が進んでいなかった。そこで、リボゾームタンパク質の一つであるRPL24のノックダウンをテトラサイクリン添加によって誘導できる上皮MDCK細胞株を樹立した。RPL24ノックダウン細胞を正常上皮細胞で取り囲んだ時、RPL24ノックダウン細胞がアポトーシスを起こして上皮細胞層から排除されることを見出した。一方、RPL24ノックダウン細胞の単独培養条件では、アポトーシスは起こらなかった。これらのデータは、RPL24ノックダウンによるタンパク質合成の低下が、細胞競合を誘起していることを示唆している。 2)接触阻害におけるMahjongの役割の解明 以前の研究で、我々はMahjongが細胞競合制御因子の一つであることを報告した(Tamori et al., PLoS Biol., 2010)。まず、細胞密度依存的にMahjong発現が制御されていることを見出した(低密度で高く、高密度で抑制)。さらに、低細胞密度条件下でMahjongをノックダウンすると増殖が低下し、変異細胞の多層化が抑制された。さらに、Mahjongをノックダウンすると接触阻害の重要な制御因子であるYAPの核移行が強く抑制された。これらのデータは、MahjongがYAPの上流で機能する接触阻害の新たな制御因子であることを示唆している(投稿準備中)。
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Strategy for Future Research Activity |
1)RPL24ノックダウンが誘起する細胞競合の分子メカニズムの解明 RPL24ノックダウン細胞がどのようなメカニズムで隣接する正常細胞との細胞競合の結果、アポトーシスによって上皮細胞層から排除されるか、そのメカニズムを探索する。これまでの研究で、RPL24ノックダウン細胞のhomeostatic cell density(confluentになった時の細胞密度)が正常細胞に比べて低いことを見出している。これは、RPL24ノックダウン細胞がcompactionによる物理ストレスに対する感度が高い可能性を示しており、mechanical competitionの関与が考えられる。これまでにmechanical competitionを制御することが知られているp38MAPKやp53の役割を調べるとともに、compaction assayによって、RPL24ノックダウンによる物理ストレスへのレスポンスを詳細に調べていく。さらに、細胞間コミュニケーションを解析する新たなシステムであるsynNotchスクリーニングにて細胞競合制御タンパク質を網羅的に同定する。 2)MahjongがCIPSを制御する分子メカニズムの解明 興味深いことに、低細胞密度条件下でMahjongをノックダウンするとタンパク質合成が低下することが分かった。さらに、タンパク質合成が、細胞密度依存的に制御されていることを示し(低密度で高く、高密度で低い)、contact inhibition of protein synthesis (CIPS)と命名した。これまで得られた知見は、MahjongがCIPSの重要な制御因子であることを示唆している。次の大きなクエスションは、Mahjongがどのようにしてタンパク質合成を制御しているか、その分子メカニズムの解明である。Mahjongノックダウンによって、mTOR活性やリボゾーム生合成にどのような影響を及ぼすかを調べる。さらに、細胞密度依存的にどのようにしてMahjongの発現が変化するか、そのメカニズムを解明する。
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Calcium sparks enhance the tissue fluidity within epithelial layers and promote apical extrusion of transformed cells2022
Author(s)
Kuromiya K, Aoki K, Ishibashi K, Yotabun M, Sekai M, Tanimura N, Iijima S, Ishikawa S, Kamasaki T, Akieda Y, Ishitani T, Hayashi T, Toda S, Yokoyama K, Lee CG, Usami I, Inoue H, Takigawa I, Gauquelin E, Sugimura K, Hino N, Fujita Y
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Journal Title
Cell Reports
Volume: 40
Issue: 2
Pages: 111078-111078
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] The CD44/COL17A1 Pathway Plays a Vital Role in the Formation of Multilayered, Transformed Epithelia.2021
Author(s)
Kozawa K, ,Sekai M, Ohba K, Ito S, Sako H, Maruyama T, Kakeno M , Kuromiya K, Kamasaki T, Kohashi K, Ishikawa S, Sato N, Asano S, Suzuki H, Tanimura N, Mukai Y, Gotoh N, Tanino M, Tanaka S Natsuga K, Soga T. Nakamura T, Yabuta Y, Saitou M, Ito T, Matsuura K, Tsunoda M,et.al..
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Journal Title
Curr Biol
Volume: 31
Issue: 14
Pages: 3086-3097
DOI
Related Report
Peer Reviewed / Open Access
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