Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度に引きつづき、心理士について職業社会学視点から調査・研究を進めた。ここで「心理士」とは、心理学にもとづく「心理療法」や「カウンセリング」、心理テストを主な仕事としている人々をさす。データの収集のためにインタビュー調査を引きつづき行った。関西だけでなく、関東にも足を伸ばし、インフォーマントのバリエーションを確保した。収集したデータは、シカゴ学派の職業研究の視点から、「心理士」という職業の存立させている仕組みを分析した。心理士にかぎらずサービス提供を仕事とする職業が、職業として成立するためには、クライアント(となる人)と、サービス関係を構築する仕組みが確立されることが条件となる。この仕組みを分析した。以上の研究から、心理士が、自分の提供しているサービスに対するクライアントの評価にセンシティブになることで、クライアントとの関係の構築を図る下位文化を成立させていることを明らかにした。また、クライアントの評価のサービス内容へのフィードバックを媒介する社会装置としてスーパーヴィジョンや事例検討会といった心理士間のコミュニケーションが重要であることも明らかにした。以上の成果の1部は、2003年5月18日の第29回日本保健医療社会学会大会(龍谷大学)において「心理士文化の再構成」というタイトルのもとに報告した。