Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
多成分ソリトン方程式は,複数の従属変数が結合した形の方程式であることから,非線形光学,流体力学,プラズマ物理学といった物理学の諸分野に登場し,自然現象の分析に不可欠な役割を果たすことがよく知られている.本研究では,逆散乱法に基づいたアプローチにより,多成分ソリトン方程式について,これまで他の方法では得られていなかった重要な結果を得ることを目的として,研究を進めてきた.本年度は,結合型非線形シュレディンガー方程式のソリトン解の性質について詳しく調べた.これは,光ファイバー等の非線形媒質中を伝わる電磁波を記述するモデルとして,特に偏光の自由度を考慮に入れた場合に,登場するソリトン方程式である.Manakovは,1974年(ロシア語版は1973年)の有名な論文の中で,この方程式の可積分性を示す一方,2つのソリトンの衝突が,各成分のレベルでは非弾性効果がみられる(偏光ベクトルが変化する)非自明なものであることを示した.その上で,Manakovは,直観的な議論によって,3つ以上のソリトンの衝突は2体衝突の重ね合わせには書けず,多体効果が存在すると結論づけた.しかし,一般のN-ソリトン解について,厳密で地道な計算を行うことにより,Manakovの直観的議論は誤りであり,多体効果がないことを証明できた.結合型非線形シュレディンガー方程式によって記述されるソリトンは,実験でも見られることが,Akhmediev等により実証されており(Phys.Rev.Lett.76(1996)3699),この結果は,実用上も意義を持つものと期待される.更に,この結果は,Steiglitz等により最近提唱された(例えば,Phys.Rev.E 63(2000)016608)光ソリトンを用いた論理演算,及びその光コンピューターへの応用における理論的な礎となるものである.また一方で,Drinfeldの意味での量子Yang-Baxter方程式の新しい集合論的解を与えるものでもあり,最近,Veselov等により独立に得られた結果の一種の拡張を与えている.
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