Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
月熱流量計測は月の内部構造に関する重要な情報を与えるものであり、LUNAR-Aミッションの科学的目的の一つである。月面に貫入したペネトレータ自身によって周囲の温度場が乱される効果を数値計算で見積もる必要があるため、月熱流量推定精度はペネトレータの熱モデルの精度に大きく依存する。これまでにペネトレータ各構成要素の熱物性の実測値を元に熱モデルを構築し、実機仕様のペネトレータ(貫入試験モデル)を用いた熱試験により改修してきた。昨年度から準備(温度計測精度向上等)をすすめてきた通り、今年度には新たな貫入試験モデル(SQM)について貫入試験前後に同様の試験を実施した。貫入前試験(2003年9月)では、従来よりも頻繁に取得したPNT内部温度データから、主に先端(加速度センサー付近)とジンバルの熱モデルの改修を行った。貫入後試験(2004年3月)では、できるだけ貫入前試験と同条件(使用計測系、ハーネスの経路等)で試験を実施する事で貫入前後での熱モデルを比較できるデータを取得し、現在解析中である。ペネトレータの熱モデルはペネトレータフライト時熱制御計算にも使用される。上記の熱試験実施前のモデルを使用して、打ち上げから月面貫入までのペネトレータの温度履歴について数値シミュレーションで計算し、要求温度範囲を満たす事を確認すると共に、ペネトレータに生じる熱応力を推定する為に必要な、温度分布に関する情報も得た。他に、PNTと母船(LUNAR-A)の噛み合わせ試験等、打ち上げ後の運用に関わる試験にも参加し続けている。