てんかん原性Cl-ホメオスタシス分子機構のヒト摘出病巣及びモデル動物を用いた解析
Project/Area Number |
01J07011
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
神経・脳内生理学
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
清水 千草 浜松医科大学, 医学部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2001 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | GABA / cation-chloride cotransporter / focal cortical dysplasia / seizure / cerebral cortex / Cl^-cotransporter / forcal freeze-lesion model / in situハイブリダイゼーション法 |
Research Abstract |
てんかんでは、脳内の局所的な神経の過剰興奮がしだいに周囲の細胞に拡がり、ついには脳全体が同期した痙攣波を生じ大発作を引き起こす。一方、大脳皮質発達期において抑制性伝達物質として作用すべきGABAやGlyが、逆に興奮性に作用する場合があることが示されてる。GABA及びGlyレセプターはCl^-チャネルを開口させるので、Cl^-ホメオスタシスがこの現象の要因になっている可能性が示されてきた。過剰な神経興奮によりCl^-ホメオスタシスが破綻することが、てんかんの形成や伝播、維持に探く関与している可能性がある。そこで、我々は、Cl^-ホメオスタシス調節分子として、Cl^-トランスポーターに着目した。臨床的に部分てんかんとよばれる系において大脳皮質形成異常を有する例が多いことが、近年の画像診断法の進歩により明らかになってきた。そこで、本研究は大脳皮質形成異常モデル動物及びヒト病巣摘出標本を用い、てんかんにおけるCl^-ホメオスタシス破綻の分子メカニズムを、In situ ハイブリダイゼーション組織化学法、免疫組織化学法による検討を行った。 1.大脳皮質凍結損傷動物におけるNKCClタンパク質の発現細胞種の確認 これまでの研究から凍結損傷4日後にNKCCl遺伝子の発現が損傷部位で上昇することがわかった。NKCC1の発現が上昇した部位は、神経細胞で構成されていることを免疫染色法により明らかにした。(第26回日本神経科学会、第33回北米神経科学会他) 2.大脳皮質凍結損傷動物におけるglycine receptorサブユニット遺伝子の発現変化 GlyRのサブユニットのうち、幼弱期にしか認められないα2サブユニットが凍結損傷後2〜4日後に一過的に発現が上昇した。しかし、βサブユニットには発現変化は認められなかった。(第81回日本生理学会、第26回日本神経科学会、第33回北米神経科学会) 3.ヒト摘出病巣におけるCl-transporterの発現変化 大脳皮質形成異常を含む摘出病巣を用いてKCC2タンパク質について免疫染色を行った。その結果、大脳皮質形成異常に特徴的な所見である巨大細胞にはその発現に変化は認められなかったが、巨大細胞の周囲に存在する正常な神経細胞でKCC2タンパク質が減少していた。KCC2遺伝子についてin situ hybridization組織化学法を用いて調べた。同様にKCC2遺伝子の発現減少を認めた。NKCC1タンパク質についてはこのような変化は見られなかった。これらの結果から、大脳皮質形成異常部位において巨大細胞の周囲に存在する神経細胞で細胞内Cl^-濃度が上昇していることが示唆され、GABAに対する応答性が変化し、てんかん発生・維持に影響を与えていることが考えられた。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)