Budget Amount *help |
¥1,600,000 (Direct Cost: ¥1,600,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
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Research Abstract |
昨年度に実施した種々の実験結果から,漢字二字熟語の形態論的関係に関する知見に加え,本研究が提唱する日本語のレンマ・ユニット・モデルが他の観点からの日本語書記法の複雑な様相をモデリングする枠組みも提供できるものと思われる,それについては刊行予定の著書において,漢字と仮名それぞれのモデルを統合して漢字の音訓という二つの読み体系を扱う可能性について述べた。また,日本語のレンマ・ユニット・モデルの将来的なサポートを勘案して,書字やモデルを組み合わせた一連の形態素構成プライミング実験法の手続きについても報告を行った。 今後行う予定の実験について二つの調査を行った。まず最初に漢字一字と二字熟語の間の連想価を測定するために,課題用に作成したフォームを用いて,500人の大学生を対象に頻度が高い500の漢字についてのデータを収集した。次に日本語を母語とする120人の被験者から,「山登り」など日本語固有の熟語について造語の根本原則に関する評価データを得た。さらに,他のアジア諸言語の心的語彙のモデル(特にインド系書字を用いている言語)に本研究のレンマ・ユニット・モデルを拡張する可能性を検討した。 心的語彙のモデル化を試みる心理言語学的研究が自ずと実験的な手続きを伴ってデータに依存するのに対して,様々な書記体系の機能がどのように異なり,またそれによって書記体系が如何に分類されるべきかという文字学研究における理論的諸概念は,異なる書字の処理過程を研究する認知科学の対象となる。そのために幾つかの類型論の再検討及び書記法の形態論的解釈に重点を置いた,書記法の分類に関する研究を行った。また,オンラインで検索可能な文字情報学に関する書誌情報の編纂を行いサイトの構築を行っている。これによって,一般言語学は言うに及ばず,社会言語学や心理言語学,また書記に関わる技術的な諸相の通時的研究に寄与し得るものと思われる。
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