SecMの翻訳アレスト配列:分子機構と生物学的意義
Project/Area Number |
02J00937
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Molecular biology
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Research Institution | National Institute for Basic Biology (2004) Kyoto University (2002-2003) |
Principal Investigator |
中戸川 仁 基礎生物学研究所, 分子細胞生物学研究部門, 学振特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2002 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | タンパク質膜透過 / リボソーム / 翻訳 / 遺伝子発現制御 / SecM / SecA / 遺伝情報発現機構 |
Research Abstract |
大腸菌におけるタンパク質分泌モニターSecMは、自身、分泌タンパク質であり、細胞のタンパク質分泌活性を自身の分泌状態としてモニターし、同一オペロン下流にコードされる膜透過駆動因子SecAの発現を制御している。私は、これまでに、SecMの翻訳は、C末端領域に存在する特異なアミノ酸配列がリボソームのトンネル内壁と相互作用することで、一旦停止(アレスト)することを示した。このアレストは、SecMの分泌が妨げられると安定に持続する。停止したリボソームにより、secM-secA mRNAの二次構造に変化が生じて、secAの翻訳開始頻度が制御される。本年度は、この発現制御機構の生理学的重要性について研究した。SecMの翻訳アレスト欠損変異は、SecAの発現量を低下させ、激しい分泌欠損を引き起こして致死となることを示した。さらに、アレストに部分的な欠損を持つ株では、分泌欠損条件下でもSecAが十分に発現誘導されず、分泌及び生育にさらなる支障を来すことを示し、SecMによるSecAの発現上昇が、実際に分泌欠損状態の緩和に重要であることを示した(研究発表欄、一報目)。一方、上記アレスト欠損株におけるタンパク質の分泌異常は、SecAのみをプラスミドから補っても回復しきれないことを発見した。この欠損は上流にsecMを持つsecAプラスミドを用いると完全に補える。すなわち、SecMには、SecAの量の調節だけでなく、その機能補助の働きもあると考えられた。このような働きには、secMがsecAと同一mRNA上にあることが必要であることを示し、SecMはSecAに対するcis-chaperonとして機能することを提唱した。さらに、cis-chaperonとして働くためには、SecMのアレスト配列およびシグナル配列が重要であることを示した。これらの結果から、SecMは、翻訳アレストを起こし合成途上で膜透過装置にターゲティングされることで、secM-secA mRNAをSecAの働く場所である膜表面に運び、そこでSecAを合成させることでその機能発現を助けている、というモデルを提唱した(研究発表欄、二報目)。 一方、基礎生物学研究所において、大隅良典教授指導のもと、酵母におけるオートファジー(自食作用)の分子メカニズムの解明を目指して研究を開始した。ホスファチジルエタノールアミン(PE)という脂質分子と結合するAtg8という自食作用に必須のユビキチン様タンパク質の機能解析を、相互作用分子の探索、および、PEと結合したAtg8が試験管内で引き起こす人工膜小胞凝集作用の分子機構とオートファジーにおける重要性の解明という観点から進めており、興味深い結果を得つつある。
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Report
(3 results)
Research Products
(4 results)