アフリカ牧畜民社会における生業変容と民族間関係の動態に関する人類学的研究
Project/Area Number |
02J01245
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
文化人類学(含民族学・民俗学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
内藤 直樹 京都大学, 大学院・アジア・アフリカ地域研究研究科, 特別研究員(DC2)
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Project Period (FY) |
2002 – 2003
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2003)
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Budget Amount *help |
¥2,500,000 (Direct Cost: ¥2,500,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | 東アフリカ / 牧畜民 / 社会範疇 / 経験や帰属の共有 / ライフヒストリー / 民族間関係 / 帰属と連帯の相互作用 / オートポイエーシス / 民族誌 / 地域研究 / 生態人類学 / フィールドワーク / エスニシティ / 近代化 / 国際情報交換 |
Research Abstract |
遊牧という移動性の高い生業活動を営む人びとの日常生活における「個人的で具体的な経験」の共有によって形成される関係が、民族や集団といったさまざまな社会範疇を生成/修正してゆくダイナミクスを、牧畜民サンプルとレンディーレの混成集団アリアールの事例から分析した。現地調査はケニア共和国マルサビット県とサンプル県の県境付近に位置するマソラ村でおこなった 村の人びとは、共通の出自集団に帰属していると主張していた。しかし、ライフヒストリーの聞き取り調査などの結果、村は雑多な出自集団に帰属する人びとの寄せ集まりであることが明らかになった。こうした共通の帰属意識は村内の婚姻紐帯のネットワーク、儀礼の共催、家畜や水場の管理をめぐる共働などの、人びと同士の直接的・具体的な諸経験の共有によって醸成される人びと同士の連帯を、出自集団への帰属として表現したものである。 しかし婚姻に関しては、もともと帰属していた出自集団が外婚単位となっていたことから、この新たな「出自分節への帰属」に加えて、もともとの出自分節への帰属も併存する。また儀礼の場面には、醸成された連帯と「出自分節への帰属」のあいだに、お互いを補強しあうような相互作用がみられた。人びとは、同じ出自分節に帰属する人びと同士でおこなうべき儀礼を、村単位でおこなうことで「ともに儀礼をうけたなかま」という強固な連帯をつくりだしていた。同時にそれは、村外の人びとに対して、創りだされた新たな「出自分節への帰属」の正当性を主張する機会でもある。このプロセスが繰り返されることで、連帯と帰属の双方が相補的に強化されていた。 人びとは、民族や集団といった社会範疇よりもむしろ、それに対する無限の反例である、個々人の連帯と帰属の相互作用の具体的な過程に関する具体的な知識をもとに具体的なつきあいをおこなっていると考えられる。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)