Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
大腸菌は培地中のグルコースに応答して様々な遺伝子の転写を誘導する。この転写誘導には転写制御因子としてMlcが関わっていること、この誘導は、グルコースの取り込みに伴い脱リン酸化されたIICBGlcがリプレッサーであるMlcを膜にトラップすることによることを明らかにしてきた。Mlcの活性阻害作用機構には2つの可能性が考えられる。一つは結合によりMlcタンパクが構造変化をおこし不活性化するというものである。もう一つはグルコース輸送タンパクIICB^<Glc>との結合に伴い、膜にMlcを局在化するとMlcが膜との相互作用などにより不活性化するというものである。これらを検討するために以下の実験を行った。MlcはIICB^<Glc>の細胞質ドメインであるIIBドメインと結合することが知られていたため、IIBドメインのみを発現させその効果を調べた。するとIIBドメイン単独ではMlcを不活性化させることはできなかったが、IIBドメインを膜タンパク質であるLacYと融合させるとMlcを不活性化することができた。次にMlcをLacYと融合させ直接膜に局在させてみた。するとこの膜局在型Mlcはリプレッサーとしての機能を失っていた。LacYの膜貫通ヘリックスの一部をMlcに融合させた場合もMlcは不活性型であった。この膜貫通ヘリックスにフレームシフト変異を入れ細胞質に局在させると、Mlcは通常どおり機能した。以上の結果から、Mlcの不活性化にはIICB^<Glc>は直接には必要でなく、Mlc不活性化は膜へ局在したときに膜との相互作用によって引き起こされると結論した。ここでのIICB^<Glc>の役割はグルコースの感知とそれに伴いMlcを膜に局在させることである。
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Mol.Microbiol. 51
Pages: 1117-1128
Mol.Microbiol. 53
Pages: 941-951