Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度は計画した2頭のニホンザルからの記録実験をすべて終了し、ニホンザルの脳標本の作成を行い、実験データを解析し、現在発表論文の準備中である。データの解析に当たっては研究費にて購入したコンピューターとソフトウエアを使用、脳標本の作製時には研究費にて購入した記録用カメラを使用した。本研究は動機付けが行動におよぼす影響の神経機構を明らかにするために3つの強化条件を用いてサルにオペラント行動を行わせ、その間に前頭前野の神経活動を記録した。すなわち、1つの条件では課題成功後にjuiceの報酬が与えられ(appetitive condition)、1つの条件では課題を失敗するとair-puffによる罰が与えられ(aversive condition)、1つの条件では課題を成功しても失敗しても報酬も罰もない(neutral condition)。2頭のニホンザルの外側前頭前野から合計214個の神経細胞の活動を記録した結果から、前頭前野では報酬に関連する情報、嫌悪刺激に関連する情報、およびそれら両者を組み合わせた情報が処理されていることが判明した。Appetitive conditionで応答する神経活動は正の報酬を獲得するための行動を媒介し、aversive conditionで応答する神経活動は負の報酬を回避するための行動を媒介し、appetitive, aversive両条件で応答する神経活動は報酬の性質に関係なく状況に適した行動を媒介する可能性が考えられる。これまでの研究のほとんどが報酬に関連する情報に限られていたことから、本研究の結果は霊長類の前頭前野機能の理解に重要な知見をもたらすと考えている。
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Journal of the Neurological Sciences In press