Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、マウス鋤鼻神経細胞由来の細胞株を確立し、この細胞株を用いて哺乳類のフェロモン物質の検定系を確立することを目的としている。嗅細胞および鋤鼻細胞は、神経細胞でありながら、一生涯を通じて新たな細胞が分裂し、成熟、死滅を繰り返している。嗅上皮では、globosal basal cellと呼ばれる細胞種が前駆細胞であると考えられているが、鋤鼻細胞の前駆細胞は同定されていない。本研究では、これまでにマウス鋤鼻上皮において、発生過程を通じて分裂細胞の局在をBrdUを用いて解析し、分裂細胞と同期して局在する遺伝子を解析した。その結果、Notch1がBrdU陽性細胞と同一の局在を示すことを明らかにした。Notch1は膜貫通タンパク質であるため、細胞外ドメインに対する抗体を用いて、Notch1発現細胞を分離し、株化するための培養を行っている。一方、マウス鋤鼻細胞由来の細胞株を用いて、他種の哺乳類のフェロモン分子も同定することのできる検定系を確立するためには、マウス以外の哺乳動物の鋤鼻細胞の特性の基礎的なデータが必要であると考えられる。マウスの鋤鼻細胞は、フェロモン受容体遺伝子ファミリー(V1rs, V2Rs)が存在し、各々Gi2およびGoと共役している。しかし、偶蹄類ではV2Rs-Go発現鋤鼻細胞は存在しない。本研究では、シバヤギフェロモン受容機構の研究も同時に行った。その結果、シバヤギでは、フェロモン受容体が鋤鼻上皮だけでなく、嗅上皮にも発現していることが明らかとなった。嗅上皮に発現するフェロモン受容体は、Gi2陽性細胞とGolf陽性細胞の両方に発現していた。この結果から、シバヤギではフェロモン分子が嗅上皮でも受容される可能性が考えられた。またその細胞内情報伝達経路は齧歯類とは大きく異なっていることが明らかとなった。
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