Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
これまでの研究において,塩ストレス下で栽培したトマト果実のアスコルビン酸含量の変化は,品種と栽培時期に依存し,上昇あるいは低下することが明らかになった.一般に,アスコルビン酸はさまざまな環境ストレス(温度,乾燥,塩など)によって生成する活性酸素の消去に利用されることが知られている.しかしながら,塩ストレス下におけるトマト果実のアスコルビン酸含量の変化が塩ストレスによって生じる活性酸素の消去と関連するかは明らかでない. そこで本年度は,塩ストレス下で栽培したトマト果実の活性酸素消去システム(アスコルビン酸-グルタチオンサイクル)に関与する酵素活性とアスコルビン酸含量の関連を調べた.抗酸化酵素活性は,果実発達初期においては,塩ストレスの影響が見られなかったが,その後果実発達に伴い低下するもの(CAT),増加するもの(SOD, DHAR, MDHAR)がみとめられた.アスコルビン酸含量は,果実発達初期においては塩ストレスの影響がなかったが,その後は塩ストレスによって低下した.また,塩ストレス下のトマト果実において酸化ストレスの指標である脂質過酸化物含量は変化がなかった.これらのことから,塩ストレス下のトマト果実におけるアスコルビン酸は,アスコルビン酸-グルタチオンサイクルを用いた活性酸素消去システムの変化と関連していることが明らかになった.さらに,塩ストレス下のトマト果実における抗酸化システムとアスコルビン酸含量の変化は果実の部位(果肉部,ゼリー部)によって大きく異なっており,果肉部のほうがゼリー部より塩ストレスの影響が大きかった. 以上のことから,塩ストレス下で栽培したトマト果実のアスコルビン酸含量の変化は,塩ストレスが引き起こす酸化ストレスに対する防御反応と関連し,果実内部位によってその影響が異なることが明らかになった.
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