Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Research Abstract |
本研究では様々な銅酸化物超伝導体/金属ヘテロ接合を作製し,ジョセフソン接合の実現を目指した。なかでも応用面から最も期待されるBi-2212/Au接合は接合作製プロセスにおいて,銅酸化物超伝導体と金属とで良い電気的コンタクトをとることに,当初困難な問題があったが,金属層の蒸着前,接合界面にBi-2212をinterlayerとして微量蒸着するプロセスを加えたところ,接合抵抗を格段に下げることに成功した。接合幅40μm以下程度の接合で,均一性が確認できた。この作製手法は,金属系超伝導体-常伝導金属-酸化物高温超伝導体ジョセフソン接合を実現するために,あらゆる超伝導体で応用可能であると考えている。 また,接合界面付近のモホロジーとトンネル効果の影響を調べたところ,接合のエッジがシャープでない場合,設計した接合ずれ角によらずZBCPというピーク構造が必ず生じてしまうことが分かった。このことは,Bi-2212の異方的オーダーパラメータ対称性(d-wave)を強く示唆するというだけでなく,異方的超伝導接合においては,界面の乱れが容易にZBCPを生んでしまう性質を持っているという重要な事実を反映している。この性質は理論的に予想されていたが,このような方法で実験的に証明したのは初めてである。 コンダクタンス特性においては,いくつかの接合でZBCPが観測された。その存在の有無だけで,温度依存性についてあまり調べられてこなかったZBCPであるが,観測できたBi-2212やLa_<2-x>Sr_xCuO(=LSCO)接合について数値解析・考察を行ったところ,田仲-柏谷による理論モデルが実験データに対して定性的にコンシステントな結果を与えることから,そのモデルの正当性が改めて示された。また,Bi-2212,LSCOにおいて,接合ジオメトリーによるZBCPの有無が観測されたのに対して,Nd_<2-x>Ce_xCuO_4(=NCCO)では全くZBCPは出現しなかった。このことから,Bi-2212,LSCOはペアポテンシャルが異方的位相変化を持ったd-wave超伝導体であるが,NCCOはそういった位相変化をもたない超伝導体(s-wave or anisotropic s-wave)であると結論できる。ジョセフソン磁束は観測不能だったものの,コンダクタンス特性という観点からオーダーパラメータの検証を行うことができたという点において,同等の意義深い結果だといえる。両者の違いは,まさにホールドープ超伝導体(Bi-2212,LSCO)か,電子ドープ超伝導体(NCCO)か,という点にあり,ホールドープと電子ドープとで超伝導発現の機構が異なっている可能性がある。
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