フェノール性物質が葉の被食・分解過程を通じて生態系プロセスに果たす役割の解明
Project/Area Number |
03J05409
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
生態
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
黒川 紘子 京都大学, 生態学研究センター, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2003 – 2004
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2004)
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Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | 被食防衛 / 落葉分解 / フェノール性物質 / 栄養塩循環 / フィードバック / 熱帯雨林 / 資源利用可能仮説 / 土壌栄養塩 / 総フェノール / 縮合タンニン / リグニン / 分解 |
Research Abstract |
本研究では、植物の被食防衛物質であるフェノール性物質が、森林生態系の栄養塩循環に果たす役割を解明するために、同所的に多様な樹木が共存する東南アジア熱帯林において、1)群集レベルで樹木の葉中フェノール性物質濃度を決定する要因、と2)生葉の被食率、葉寿命、落葉の分解速度におけるフェノール性物質の役割、を明らかにした。この2点の結果から、森林生態系の栄養塩循環に植物の被食防衛による正のフィードバックがかかるかどうかを考察した。 本年度は上記2)について、葉の寿命を精確に算出するための葉回転率の継続調査、および野外における被食率の継続調査を、熱帯樹種40種について林冠部で行った。その結果、落葉分解速度はフェノール物質の中でも、特にリグニンに強く制御されるのに対し、生葉の被食率、葉寿命はフェノール性物質では説明されないことが明らかとなった。このことから高い樹木多様性をもつ熱帯林では被食防衛戦略も多様であり、フェノール性物質のみが有効な被食防衛ではないと考えられた。 また、7月にハワイで行われた第47回国際植生学会に出席し、上記1)の、樹木群集の葉中フェノール性物質濃度は土壌栄養塩によって決まり、中でも総フェノール・縮合タンニン濃度は貧栄養な場所で高く、リグニンはその逆の傾向を示した、という結果を「Factors explaining plant defensive investments in tropical rain forests in Borneo」という題名でポスター発表し、ポスター賞を受賞した。上記1)2)の結果をあわせると、調査地の森林の栄養塩循環においては、植物の被食防衛による正のフィードバックはかからないことが予測された。この結果は8月に釧路で行われた第51回日本生態学会で「植物の被食防衛は森林生態系栄養塩循環に正のフィードバックをかけるか」という題で口頭発表した。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)