Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2003: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
本年度の研究では,まず,昨年度までに行っていた後期白亜紀の北西太平洋陸棚海における海洋温度構造の時代変遷の結果をより高精度化し,大西洋やインド洋などの他の地域で得られている結果との比較を試みた.その結果,北西太平洋以外の全地域ではおよそ9000万年前〜8000万年前にかけて海水温が約4℃減少するにもかかわらず,北西太平洋地域では海水温の減少は認められず,海水温が一定に保たれていたことが明らかになった.さらに,これらの海洋での結果と比較するために,大気の平均気温の指標となるデータの解析を行った結果,大気の平均気温もこの1000万年間の間に減少傾向にあることが明らかになった.つまり,9000万年前〜8000万年前にかけて,全球的に寒冷化傾向にあるにもかかわらず,北西太平洋のみは温度の減少が認められないことが明らかになった. そこで,これらの全球的な温度変化の傾向が生物の分布に与えた影響を明らかにするために,ヨーロッパ地域と日本におけるアンモナイト類化石の化石帯区分,および浮遊性有孔虫化石の全球的層序分布と日本での層序分布を統合し編纂することにより,これらの生物の分布の時代変遷の解明を試みた.その結果,浮遊性有孔虫ではおよそ9000万年より古い時代では日本でも全球的な有孔虫類と共通の種の分布が認められるにも関わらず,それより新しい時代では有孔虫化石群が世界的なものとは異なる日本独自のものに分化していくことが明らかになった.さらに,アンモナイト類においても,9000万年前以降,ヨーロッパ地域ではそれ以前までに繁栄していたグループを新たなグループが徐々に置き換えていき,次々と新たなグループへと変化していくにも関わらず,北太平洋地域では9000万年前以前に繁栄していたグループがそれ以降も存続していたことが明らかになり,これらの海洋生物の分布のダイナミクスと全球的な海水温変遷との関連が明らかになった.
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