Project/Area Number |
03J50571
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
応用物性・結晶工学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 剛史 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,600,000 (Direct Cost: ¥2,600,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2003: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 銅酸化物高温超伝導体 / 電子ドープ型高温超伝導体 / 微小メサ構造 / 固有トンネル特性 / 固有ジョセフソン接合 / 擬ギャップ / 電子-ホール対称性 / 電子相図 / ジョセフソン接合 / 電子-正孔対称性 / 高磁場物理 / 層間伝導 / πジャンクション |
Research Abstract |
今年度の成果として次のような結果が得られている。 1.電子ドープ型高温超伝導体Sm_<2-χ>Ce_χCuO_<4-δ>(SCCO)単結晶上に作製した寸法2μm角、厚さ36nmの微小メサ構造において、電子ドープ型高温超伝導体で初めて固有ジョセフソン接合特性を観察することに成功した。この微小メサにおいては、電流電圧特性に微小メサの層数に対応する本数の電圧分枝が観察され、それがSCCOの結晶構造がトンネル型固有ジョセフソン接合を内包することを示している。作製したメサ(超伝導転移温度T_c=16-23K)の4.2Kにおける最大ジョセフソン電流密度J_cは5-8kA/cm^2であり、ヒステリシスの深さは最大で約10%であった。また、J_cとT_cがキャリアドープと共に減少するという傾向が明らかとなった。複数本の電圧分枝は、メサの面積が10μm^2以下でのみ観測され、その原因が接合内における電流分布にある可能性を示した。さらに、J_cの実験値が理論値に比べて1桁小さいことや、フラウンホーファー干渉パターンが明瞭に観測されないといった異常が観測され、電子ドープ型高温超伝導体においてもホールドープ型高温超伝導体と同様に超伝導の不均一性の存在が示唆された。 2.Ce量χの異なる微小メサの層間伝導特性を解析した結果、擬ギャップ温度がキャリアドープに伴い直線的に減少する一方で、超伝導転移温度よりも高い値を示し続けるという傾向が明らかとなった。反強磁性-超伝導相境界に近接した組成(χ〜0.140)においても擬ギャップ温度は48Kと低い値であった。さらに、SCCOの伝導特性は過剰ドープ領域のホールドープ型高温超伝導体と類似していることもわかった。これに加えて、酸素欠損量を考慮してSCCO微小メサの実効的なキャリア濃度を見積もった結果、ホールドープ型高温超伝導体における重過剰ドープ領域に対応していることがわかった。これらの結果は、超伝導領域に限定すれば、電子ドープ型高温超伝導体がホールドープ型高温超伝導体と類似の電子相図を有する可能性を示唆している。
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