同性同年輩間における鏡映関係について-心理臨床学的観点からの研究-
Project/Area Number |
03J50591
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
教育・社会系心理学
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
須藤 春佳 京都大学, 大学院・教育学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2003 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,400,000 (Direct Cost: ¥1,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2004: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2003: ¥400,000 (Direct Cost: ¥400,000)
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Keywords | 前青年期 / 同性同年輩関係 / chumship / 性差 / 共感性 / 攻撃性 / 同一性 / 鏡映関係 / 青年期 / chumship(親友) / 自我同一性 / 身体性 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までの研究を踏まえ、これまでとは異なる角度からの質問紙調査研究結果分析、および事例をとりあげた上での研究論文の執筆を行った。 これまでの質問紙調査の結果から、同性同年輩関係の関係性には顕著な性差がみられることが指摘されていた。今年度はこの点について考察を深めるため、なぜそのような性差がみられるのかについて、精神分析的な理論を援用しながら、この現象の背後にあると考えられる発達的な機序について検討した。 また、事例を通して前青年期の同性同年輩間の関係性について考察した。一つには、筆者が携わった学校現場における子どもたちの事例を通して、親しい同性友人間に繰り広げられる世界について検討した。これによって、これまでの質問紙調査では掬い取る事のできなかったような、、前青年期の子どもたちの間で展開する世界(親しい二者の間に繰り広げられる想像と現実の間の共有された世界)について、具体例に基づき考察された。 さらに、筆者による心理臨床実践活動の中から、思春期女子の事例に基づき、そこで生じた関係性、中でも共感的で協同的な、chumship(親友関係)に通じる関係性の展開について考察した。このことは、前青年期や青年期にみられる、同性同年輩関係の関係性が、必ずしも同年代の者同士に限らず生じうるものであり、それが治療的な展開を生じさせるものであるということを示唆するものであった。 これに加えて、心理臨床場面における治療関係、特に自己愛性障害の治療にに重要とされる、「共感性」について、「攻撃性」との結びつきという観点から考察された海外文献の翻訳作業を通して、本研究課題に関する知見を広めた。親しい同性同年輩関係には、互いの気持ちを感じ合う「共感的」な関係性だけでなく、互いを映し合うような「鏡映関係」にあるがゆえに引き起こされうる両価的感情や、時として攻撃的感情が内在するものと考えられる。上記の論文は、この点において親しい同性同年輩関係を動的に捉える上で、一助となるものであった。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)