Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
パプアニューギニア,マヌス海盆の海底熱水系のうち,デスモス・カルデラに存在するOnsen site海底熱水系沈殿物試料の安定同位体比(水素,酸素,硫黄)と流体包有物の均質化温度および塩濃度の検討を行った。粘土鉱物試料の水素・酸素同位体比測定から,この熱水系はマグマ水を放出し,変質鉱物はマグマ水と海水の混合物から生成していることが示唆された。また,自然硫黄,岩石中の硫黄,および熱水中に含まれる硫黄化学種の硫黄同位体比から,この海底熱水系に供給されている硫黄は,マグマの脱ガスに伴う二酸化硫黄ガスであり,二酸化硫黄が不均化反応を起こすことにより非常に硫黄同位体比の低い自然硫黄と海水硫酸より低い硫黄同位体比を持つ硫酸を生成していることが明らかになった。二酸化硫黄ガスが直接海底に吹き出していることは,水素・酸素同位体比から推定されるマグマ水が関与しているとの指摘と調和的である。これらの結果は,デスモス・カルデラOnsen siteの海底熱水系が,陸上の酸性の水をたたえた火口湖の海底版であることを示している。この結果は,現在Resource Geology誌に投稿中である。 マヌス海盆と同じ背弧に存在する沖縄トラフ・第四与那国海丘の海底熱水系の熱水チムニー試料を比較対象のために鉱物化学的に検討した。本海底熱水系の活動的熱水チムニー試料が,2.4wt.%のスズを含む黄銅鉱と1.7wt.%の白金を含む輝蒼鉛鉱を含んでいることが明らかになった。これらの鉱物の発見は,活動的な海底熱水系では初めてのことである。黄銅鉱に対してスズが入る機構は,黄銅鉱から黄錫鉱へ向かう固溶体中のFe^<3+>Fe^<3+>がSn^<4+>Fe^<2+>と置換したものと考えられる。なお,白金が輝蒼鉛鉱に入る機構については現時点では定かでない。これらの結果は,岡山大学地球科学研究報告に現在印刷中である。
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