Budget Amount *help |
¥2,400,000 (Direct Cost: ¥2,400,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
脊椎動物では、性分化は先ず生殖腺で始まり、さらに性分化後の卵巣でつくられるエストロゲン、精巣でつくられるアンドロゲンなどの性ホルモンが脳の性分化に重要な役割を果たすと考えられている。しかし、脳の性分化、或いは成体の脳で保持されていると考えられる性的可塑性の分子メカニズムに関しては適当な実験モデルが欠如するために研究がほとんど進んでいないというのが現状である。そこで本研究では、脊椎動物のなかでも性的可塑性がもっとも強く保持されていると魚類、特に近年発生研究のモデル動物として注目されているメダカを用いて脳の性分化と性的可塑性について解析した。 本年度は、メダカの脳内で性特異的に発現する遺伝子の探索を試みた。cDNAサブトラクション法および定量的PCR法を用いたスクリーニングの結果、雌の脳で高い発現量を示す5種類の遺伝子(cyp19a2,npb,soul,fflc,vip)と、雄の脳で高い発現量を示す8種類の遺伝子(cpe,snap,sstlb,pacap1,mch,galanin,gpr7,pacap2)が同定された。その後、それらの遺伝子の全てについて、cDNAクローニングを行い、全長塩基配列を決定した。さらに、それら個々の遺伝子群について受精後0,1,2,3,4,5,6,7日、および孵化後3,7日の雌雄脳における発現の変動について解析した。その結果、cyp19a2,npb,soul,fflc,vip,galが常に雌の脳で強く、またgpr7,pacap1,snapが常に雄の脳で強く発現し、cpe,sstlb,pacap2などの遺伝子は発生過程で雌雄のいずれにも発現していることが明らかになった。現在、上記成果について論文投稿の準備を行っている。 今後、これらの遺伝子の脳における発現に及ぼす性ホルモン(エストロゲン、アンドロゲン)やタモキシフェン(エストロゲン受容体阻害剤)処理の影響について解析することにより、脳の遺伝子発現と性的可塑性(性行動も含む)の分子メカニズムについてさらに解析を深めたいと考えている。
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