可視光変動から探るブラックホール降着流とジェットの物理
Project/Area Number |
04J00262
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Astronomy
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Research Institution | Kyoto University |
Research Fellow |
植村 誠 京都大学, 宇宙センター, 助手
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | ブラックホール / 降着円盤 / ジェット / 突発現象 / 連星系 / 恒星 / 矮新星 |
Research Abstract |
1.ブラックホール連星系と同様の近接連星系における降着円盤の再構成 2005年1月にチリにある世界最大級の光学望遠鏡「VLT」を用いて、矮新星「Z Cha」の高速分光観測測を行い、本年度はその観測で取得された降着円盤スペクトルの解析を行った。その結果、非等方な放射領域を発見した。降着円盤の理論モデルではこれまで一般にケプラー回転と等方的な放射が仮定されているが、観測的にその仮定が正しくないことが明らかになった。この非等方な成分は円盤の渦状腕構造を反映していると考えられる。 2.ブラックホール連星系の静穏時光度曲線のモデル化 ブラックホールX線連星「V4641 Sgr」の静穏時光度曲線を解析し、連星パラメータから極大光度やジェット速度を決定した。連星パラメータはこれまで報告されていた値とは全く異なるもので、その結果、これまで極めて異常とされてきた超高光度やブレーザー的高速ジェット速度などが通常の値になった。新しい連星パラメータは伴星が低質量ながら1万度の有効温度をもつ特異な天体であることを示唆するが、これはヘリウム核と水素シェルが共に燃焼している天体で説明できる。 3.活動期のブラックホール連星系の光度曲線を用いた統計的解析 1999年から2005年までに得られた「V4641 Sgr」の5回のアウトバーストを解析し、全てのアウトバーストは、円盤外縁が熱的に高温になる「1.増光初期」、磁場にエネルギーが転化される「2.短時間変動期」、アウトバースト最後の「3.超高光度フレア」、アウトバースト後にも短時間変動が続く「4.後期活動期」、伴星からの楕円変光のみが観測される「5.静穏期」、の5つのフェーズで説明できることが明らかになった。これまでこのブラックホールX線連星の挙動は現象論的にさえも理解されていなかったが、今回の発見によって、今後は物理状態を研究することができる。
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Report
(2 results)
Research Products
(6 results)