2004 Fiscal Year Annual Research Report
可視光変動から探るブラックホール降着流とジェットの物理
Project/Area Number |
04J00262
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
植村 誠 京都大学, 基礎物理学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 降着円盤 / ブラックホール / 突発現象 / 連星系 / 恒星 / 矮新星 |
Research Abstract |
1.特異な振る舞いを見せるブラックホールX線連星V4641 Sgrの活動の観測に成功 V4641 Sgrは1999年にブラックホールX線連星として発見され、その後も活動(アウトバースト)が観測されている。本研究ではチリ共和国において小型望遠鏡を使用してその天体の長期モニター観測を実施し、2004年7月にアウトバーストを捉えた。今回の観測によって、2002年にも存在が示唆されていた、アウトバースト直後の非常に短時間の変動期がこれまでにない精度で確認された。特に数十秒の間に0.5等級以上も増光する現象は、X線光度が低い状態で起きる傾向があることが明らかになった。このような状態では、ブラックホール近傍で磁場の圧力が重要になることが知られており、短時間の変動が磁場の活動性に関連した現象であることが、より確かになった。 2.ブラックホールX線連星V4641 Sgrの静穏時の観測 ブラックホールX線連星は静穏時には降着流でなく、連星系の伴星が見えていることが多い。静穏時の可視光度曲線からは連星の質量費と傾斜角の情報を得ることができるため、その精密な観測が重要である。本研究では、上記と同様、チリ共和国におけるモニター観測によって、V4641 Sgrにおいては最も正確な静穏時光度曲線を得ることに成功した。その結果は、従来信じられていた連星系パラメータでは全く説明できないものであり、このブラックホール連星系のこれまでの描像を変える可能性のあるものだった。 3.矮新星を用いた降着円盤外縁付近の物理 天体への降着流を考える上で、矮新星の降着円盤はその多くを可視光で観測できるため、以前から「自然の実験場」として研究されてきた。本研究では、円盤が楕円形に変形し、その楕円モードが円盤内を伝播する現象について、降着円盤のサイズが影響を及ぼしていることを発見した。
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Research Products
(3 results)