Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
|
Research Abstract |
今年度は、四元数unitary群Sp(1,1)上の保型形式について、その算術性について考察した。(主に、大阪市立大学COE研究員・成田宏秋と共同で研究を行った。) この場合、この群に対応する対称領域は複素構造を持たず、しかも重さがベクトル値のものしか存在しない。そのため、これまでは、保型形式の存在が知られていたのみで、誰も具体例を知らなかった。 こういった状況で、本研究では、Sp(1,1)の(通常の虚二次体K上の)unitary群U(2,2)への埋め込みを考え、U(2,2)上の(ある特殊な)保型形式を引き戻すことによって、具体的なFourier展開を持ったSp(1,1)上の保型形式を構成することに成功した。こうして構成したSp(1,1)上の保型形式は、きわめて単純で分かりやすいFourier展開を持ち、自然に算術的なものとみなすことができる。また、異なる虚二次体から引き戻した保型形式どうしは、互いに線形独立となることも、明らかとなった。今後の課題は、果たしてこういったU(2,2)の保型形式の引き戻しによって、Sp(1,1)上の保型形式の空間を全て貼ることができるのかどうか、という点である。 また、Sp(1,1)の保型形式の内積を与える、いわゆるdoublingの式を作ることのできる、ある特殊なEisenstein級数を、Sp(2,2)上に構成することにも成功した。ただし、このEisenstein級数のFourier展開に現れる球函数はきわめて複雑であり、Sp(1,1)×Sp(1,1)に引き戻したとき、どのような保型形式となるのかは、今後の研究課題である。
|