G蛋白質共役型受容体を介した新規RhoGEFのシグナル伝達機構の解析
Project/Area Number |
04J05012
|
Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Biological pharmacy
|
Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development (2005) Nara Institute of Science and Technology (2004) |
Research Fellow |
宮本 幸 国立成育医療センター(研究所), 薬剤治療研究部, 共同研究員
|
Project Period (FY) |
2005 – 2006
|
Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
|
Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Keywords | Rhoファミリー / グアニンヌクレオチド交換因子 / アクチン骨格 / 神経突起伸長 / 細胞遊走 / エンドセリン受容体 / JNK / HAX-1 / アダプター蛋白質 |
Research Abstract |
我々は、以前にG蛋白質共役型受容体であるエンドセリンA(ETA)受容体からJNK活性化を介した細胞遊走抑制のシグナル伝達経路において、SrcファミリーチロシンキナーゼとRhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質の接点に存在する分子の一つとして、新規RhoGEFであるFrgを単離・同定した。本年度は、より普遍的なFrgの生物学的役割を解明するため、まず各組織におけるFrg発現分布の検討を試みた。その結果、Frgは特に中枢神経系において優位な発現を示す知見が得られた。 神経栄養因子の一つである脳由来神経栄養因子(BDNF)はTrkB受容体を介して、様々な生理作用を引き起こすことが知られている。特に、神経細胞においては、生存、分化、及び神経突起伸長など多様な生理現象と密接に関わっている。それらの生理作用のうち、神経突起伸長の制御はアクチン骨格の変化を伴った、神経細胞の発達過程を担う、重要な形態変化の一つである。Frgが密接に関与する細胞遊走もまた、アクチン骨格の再編成が根底となる細胞生物学的現象であることが知られている。さらに、Rhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質は、guidanceシグナルとアクチン骨格を結びつける分子の一つとして中心的な役割を果たしているが、その詳細なシグナル伝達経路に関しては不明な点が多く残されている。そこで、我々は、BDNFによるTrkB活性化が及ぼすアクチン骨格への影響と、それを制御するシグナル伝達経路を、特にRhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質を中心に検討を行うこととした。はじめに、BDNFによるTrkB活性化により、どのRhoファミリー低分子量GTP結合蛋白質が関与するかを検討したところ、Rac1とCdc42が時間依存的に活性化されることが明らかとなった。次に、Rac1の上流因子として、T-lymphoma invasion and metastasis(Tiam1)が考えられたため、そのdominant negative体を細胞に導入したところ、BDNF刺激によるRac1の活性化が強く抑制され、さらにBDNF刺激による初代神経培養細胞の突起伸張が抑制されることが示された。また、BDNF/TrkBによるTiam1活性化は、Tiam1のリン酸化が重要なステップとなっているという結果を得、そのリン酸化チロシン残基の同定にも成功した。 以上のことから、BDNF/TrkBは、Tiam1のある特定のチロシン残基をリン酸化・活性化することによりRac1の活性上昇を引き起こし、神経突起伸長を促進することが明らかとなった。現在、このシグナル伝達経路において、Cdc42の上流で働くRhoGEFとしてFrgが介在するか否か、また介在するならば、Tiam1/Rac1経路とのクロストークはどのようになっているか、などについて引き続き検討中である。
|
Report
(2 results)
Research Products
(1 results)