Budget Amount *help |
¥2,800,000 (Direct Cost: ¥2,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
|
Research Abstract |
開眼者が視覚的な形の知覚を成立させるには,視覚自体だけではなく触覚が大きな役割を演じていることが明らかにされており(鳥居・望月,1992,1997;梅津,1997),active touchの重要性が示されている(鳥居・望月,1992,1997)。このactive touchの重要性は視覚正常者においても示されている。Katz(1925)はテクスチャーを知覚するときにpassive touchではなく,active touchによって弁別できるようになることを実験的に示し,日常生活では能動的に触れることで外的環境を知覚していることを指摘した。また,形を知覚する際にもactive touchの重要性が示されている(Gibson,1970)。そこで本研究では,active touchとpassive touchによる触覚情報が湾曲錯視の見えに与える影響を検討した。その結果,active touchによる触覚情報もpassive touchによる触覚情報も見えに対して影響を与え,触覚情報の方向へ偏向することが示され,特にactive touchが"見え"に対して影響を与えやすいことが明らかとなった。これは,active touchが見えに対する影響を規定する要因の一つとなっていることを示唆している。 また,これまでの研究から錯視図形の見えは触覚情報の影響を受け,その方向へ偏向することが明らかとなった(大森ら,2005)が,これらの実験では,触覚情報が3次元的に触ることができる木の板を用いていた。そこで本研究では,触覚情報を2次元面の紙面上(立体コピー)に示し,触覚情報が錯視に及ぼす影響を検討し,先行研究で明らかにされた3次元的な触覚情報の効果と比較を行った。その結果,錯視図形における主線の見えは平面的な触覚情報の影響を受け,その触覚情報の湾曲方向へ偏向することが示された。これらの結果を,立体的な触覚情報が視覚に及ぼす効果(大森ら,2005)と比較すると,立体的な触覚情報では,触覚情報が凸・平行・凹のすべてにおいて見えに影響を及ぼすことが示されたのに対し,平面的な触覚情報が見えに与える効果は部分的である。これらのことから,立体的な触覚情報は見えに対してより強く影響することが明らかとなった。
|