気候変動、社会変化に対する大規模潅漑農地の受容度の動的分析
Project/Area Number |
04J06155
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Irrigation, drainage and rural engineering/Rural planning
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Research Fellow |
長野 宇規 総合地球環境学研究所, 研究部, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | 気候変動 / 社会変化 / 灌漑排水 / 水文 / 灌漑農業 / IMPAM / トルコ / Seyhan / 灌漑効率 / 大規模灌漑農地 / 塩害 / 水収支 |
Research Abstract |
本研究はトルコ共和国南部に位置するセイハン河下流域灌漑プロジェクトを研究対象とした. 現地の水文観測および水管理組織の聞き取りを行い,これらの詳細情報と広域情報をGISに統合した.過去の作物栽培履歴についてはリモートセンシングにより分類して分析に利用した.一方で水路ネットワーク,浅層地下水連絡,1次元の土壌-作物-大気モデルを連結した準三次元の分布型モデル,「灌漑管理実効評価モデル」の開発を行った. IPCCのA2シナリオに基づいた二つのGCMモデル(MRIおよびCCSR)を擬似温暖化という手法で分解能8.3kmにダウンスケールした1990年代の10年間の気候データと2070年代の10年間の気候データを解析に用いた.また,2070年代の社会経済状況については現状維持型,高投資型,低投資型,高投資・地下水利用型という4つの社会経済設定シナリオを設け,土地利用に反映した. 気候変動のパターンについての二通りのシナリオと社会設定の四通りのシナリオでダムの供給可能水量と灌漑地の作付けと用水需要を想定し,シナリオ分析を行った.灌漑地周辺では降雨量は現在の660mmから350mmまで大幅に減少し,平均気温も各月2-3℃上昇し,灌漑需要量は増加する見通しとなった.ただしダムの容量が大きいため,用水の供給不足が深刻になることはなかった.また,現在問題となっている高い地下水面は,将来いずれの管理でも低下する傾向であり,現在の塩害や排水不良の危険性はむしろ減少する傾向となることを示した.深層地下水の利用は海岸部での塩害を加速する危険性が高く,避けるべきであることを提言した.結論として,対象地域の水収支は温暖化よりも土地利用や水管理の違いに大きく影響を受けるが,温暖化と社会変動に対する受容度は極めて高いことを明らかにした.
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)