Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
ハイパーラマン散乱(Hyper Raman Scattering; HRS)を用いたチップ増強非線形ラマン散乱顕微鏡の構築を目指し、金属ナノ微粒子によるHRSの増強に関する基礎研究を行った。HRSは、二光子励起のラマン散乱であり、その選択則はラマン散乱よりもむしろ赤外吸収に近い。すなわち、HRSによるイメージングは、赤外活性分子のコントラストを与える。散乱強度は励起光強度の2乗に比例するため、通常の一光子励起のラマン散乱に比べ、高い空間分解能と増強度が期待できる。金属ナノ微粒子によるHRS増強を実験的に確認するために、イオン還元により銀微粒子を作製し、Crystal Violet、Malachite Greenの色素分子を微粒子表面に吸着させて、HRSスペクトルを観察した。この結果、ナノ微粒子の凝集体において極めて強いHRSが高い再現性で観察された。この強い増強は、微粒子対の接合部(ギャップ)のホットスポットによる増強であると考えられる。ナノ微粒子対の代わりに、金属基板上で金属探針のチップを用いてギャップを形成すれば、チップ増強型のHRSイメージングが実現できる。また、これと並行して、金属の自己結晶成長により金属チップを作製する方法を新たに提案し、試作に取り組んだ。これまではカンチレバープローブを真空蒸着法により金属コートして金属チップを作製していたが、自己結晶成長を用いれば、構造、サイズの制御性の飛躍的な向上が期待できる。銀ナノ結晶は、Polyol法により銀のナノキューブ構造とバイピラミッド構造を作製し、poly-ethylenimineでコートしたカンチレバープローブのチップ先端に固定した。この方法を用いれば、HRSの増強度の向上に加え、これまでの通常のラマン散乱やコヒーレントアンチーストークスラマン散乱を用いたイメージングシステムの感度向上にもつながる。
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All Journal Article (11 results)
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