Project/Area Number |
04J08132
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Organic chemistry
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
久木 一朗 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | ポルフィリンダイマー / ホウ素化 / 環状共役パイ電子系 / 二光子吸収 / keto-enol互変異性 / アルキニルポルフィリン / ポルフィリン二量体 / エチニルポルフィリン / デヒドロベンゾアヌレン / 高歪みデヒドロアヌレン / 光環開裂反応 / マトリックス単離 / 芳香族性 / 共役パイ電子系 / 密度汎関数法 / FTIRスペクトル |
Research Abstract |
ポルフィリンを組み込んだ巨大パイ電子系化合物は光電子材料への応用の観点から注目されている。本研究では、ポルフィリンをブタジインユニットで架橋した環状パイ電子系の創出を目的とした。 2,18-diborylporphyrin誘導体1をoxone酸化することにより、88%の収率でdihydroxyporphyrin 2を合成した。これを、PhN(Tf)_2とCsCO_3を用いてトリフラートへと導き(86%)、続いて亜鉛錯体とした後、Pd(0)を触媒に用いてTMS-acetyleneとクロスカップリングさせた(84%)。最後に塩基条件下でシリル基を除去し、ピリジン存在下Cu(II)を用いた酸化的ホモカップリングにより、89%で環状のポルフィリンダイマー3を合成することに成功した。ダイマー3はブタジインユニットを一つしかもたない非環状ポルフィリンダイマーに比べ、蛍光の強度が著しく小さく、その光学的特性に興味がもたれる。材料への応用の観点よりポルフィリンダイマー3の非線形光学特性について調べるため二光子吸収断面を求めたところ、比較的大きな値(11,300GM,λ=800nm)を得ることができた。 一方、合成中間体である化合物2はそのヒドロキシル基部位において、keto-enol互変異性体が存在し、極性溶媒中ではenol-enol体が、非極性溶媒中ではketo-enol体が支配的となることがわかった。一方で、keto-keto体は観測されなかった。これは、keto-keto体が生成するためにはポルフィリン環のパイ共役を解く必要があり、エネルギー的に不利なためである。このketo-enol体は非極性溶液中においてはketo部分とenol部分の分子間における相補的な水素結合によって2量体を形成することが明らかとなり、非共有結合を用いたポルフィリンアレイの構築に向けて有用な知見を得た。
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