Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度に引き続き、ヒメツリガネゴケのミトコンドリア移行型RecA(PpRecA1)に関しての解析を重点的に行った。解析の結果、RprecA1破壊株に生じたミトコンドリアゲノム再編成の原因となっていた反復配列の多くはダイレクトリピート(DR)であり、分子内組換えによって欠失ゲノムがもたらされていることが判明した。また、PprecA1破壊株のミトコンドリアにはこのような異常な組換え体のみならず、電気泳動速度が極端に遅い異常な構造を持つゲノムも蓄積されていることも判明し、PprecA1の破壊はミトコンドリアゲノムに何らかの大きな構造変換をもたらしている可能性が示唆された。一方、定量PCR法による解析を行った結果、破壊株ではDRと同様にインバーテッドリピートにおける組換えも促進されていることが判明し、破壊株のミトコンドリアにおける再編成の必要条件は反復配列であることがわかった。定量PCR法によりDNA損傷後の修復過程をモニターしたところ、PprecA1破壊株はミトコンドリアDNA損傷の回復が低下することが明らかになった。これは、PprecA1がミトコンドリアDNAの修復に機能していることが示している。recA以外にミトコンドリアゲノム動態への関与が予想される遺伝子として、大腸菌で組換え後期過程に関わるヘリケースrecGの相同遺伝子(PprecG)、シロイヌナズナのミトコンドリアゲノム再編成に関与することが報告されているmsh1相同遺伝子(Ppmsh1)をヒメツリガネゴケに同定し、いずれもミトコンドリアに移行することが明らかにした。PprecG破壊株、Ppmsh1破壊株はいずれも生育に異常をきたし、PprecA1破壊株と同様のミトコンドリアゲノム再編成が起きていることが判明した。これらの結果から、植物のバクテリア型相同組換えコンポーネントは、ミトコンドリアゲノム再編成の抑制に機能していることが示唆された。
All 2007
All Journal Article (2 results) Book (1 results)
Genes & Genetic Systems (In press)
Molecular Biology and Evolution 24・3
Pages: 699-709