2004 Fiscal Year Annual Research Report
植物オルガネラにおけるRecA相同タンパク質の機能解析
Project/Area Number |
04J08575
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小田原 真樹 立教大学, 理学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 葉緑体 / ミトコンドリア / 組換え / DNA修復 / ヒメツリガネゴケ |
Research Abstract |
植物オルガネラの機能には、オルガネラDNAの維持が必須である。我々によるこれまでの解析により、ヒメツリガネゴケにおいては2種のRecA相同タンパク質(PpRecA1、PpRecA2)が、それぞれミトコンドリア、葉緑体に移行することが判明しており、オルガネラDNAの修復に関与することが強く示唆されている。またPprecA1の遺伝子破壊株は顕著な生育異常を示すことが判明している。 本年度は、まずPprecA2遺伝子破壊株の作成を試みた。その結果、PprecA2遺伝子破壊株を取得し、得られたPprecA2遺伝子破壊株は通常培養下では、生育速度、形態ともに野生株と相違ないものの、光化学系に作用して活性酸素を発生させるパラコートに対して感受性を示すことが判明した。この結果から、PprecA2の機能は高酸化ストレス時に必須であると予想される。 一方、PprecA1に関しては、遺伝子破壊株の生育異常の原因としてミトコンドリアに照準を定め、電子顕微鏡法による内部構造の観察、サザン法によるDNAの解析を行った。その結果、PprecA1破壊株の全てのミトコンドリアには内部構造の異常が観察されたが、ミトコンドリアDNAのコピー数に変化は見られなかった。しかし、PprecA1破壊株には野生株では見られないDNA分子が検出され、このDNA分子はミトコンドリアゲノム内に存在する相同性の高い(約80%)配列間における組換えによって生じたDNAであることが判明した。PCR法を用いた方法により、このような異常な組換えは野生株ではごく低頻度に起きていることが判り、PprecA1破壊株ではその頻度が著しく上昇していることがわかった。以上の結果は、ミトコンドリアの機能異常がPprecA1破壊株の生育異常の原因となっていること、PprecA1はミトコンドリアDNAの異常な組換え反応を抑制していることを示唆している。
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