Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
家族性パーキンソン病PARK7の原因遺伝子産物であるDJ-1には,これまで疾患の原因とされる五つの変異(M26I, E64D, A104T, D149A, L166P)と,疾患に関与しないとされる変異(R98Q)が発見されている.このうちL166P変異体は非常に不安定であり,DJ-1としての機能が失われることがパーキンソン病の原因であると考えられている。一方,その他の変異体については野生型と大きく異なる性質を示した知見はこれまでに無く,何故パーキンソン病を引き起こすのかについては未知である.そこでこれら変異により疾患を引き起こすメカニズムを構造生物学的観点から明らかにすることを目的として,L166P変異体を除く五種全ての変異体を作製し,X線結晶構造解析を行った.五種の変異体についてそれぞれ精製,結晶化を行い,分解能2Åで構造を決定した. 野生型DJ-1との構造比較を行った結果,E64D, R98Q, D149Aの変異は分子表面に位置しており,野生型との全体構造の違いは認められなかった.以上より,E64D, D149Aの変異は,何らかのDJ-1結合タンパク質との結合を消失することにより疾患を引き起こすことが示唆される.一方,興味深いことに,M26I, A104Tの変異は分子内部に位置するにもかかわらず,やはり野生型との全体構造の違いは認められなかった.従って,これらの変異体は全体構造,表面残基ともに野生型と全く同じであるといえるため,疾患の原因ではない,多型の一つである可能性が示唆される.しかしながら,DJ-1は微生物由来のプロテアーゼと極めて類似した構造をもつことからプロテアーゼであると考えられており,微小な構造の変化がその活性に大きな影響を与えるという可能性も考えられる.
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