フェムト秒超短レーザーパルスによる絶対位相制御とその応用
Project/Area Number |
04J10619
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
足立 俊輔 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 超短レーザーパルス / 絶対位相 / 光ポーリング / 絶対位相制御 / 相互相関周波数分解光ゲート法 |
Research Abstract |
今年度の研究では、昨年度の研究により完成した絶対位相制御レーザーシステムを用いた絶対位相依存光ポーリングの実験を行った。 光ポーリング現象とは、量子干渉効果を用いた化学反応制御法の一種と考えることができ、光通信やホログラフィックデータ記憶装置等の応用面からも、広く興味を集めている。本過程では、ある周波数(ωとする)を持つレーザーパルスと、その2倍の周波数(2ω)を持つパルスを同時に色素試料に入射する。これにより、2ωパルスの1光子吸収と、ωパルスの2光子吸収とが、競合する形で起きるため、それらの吸収遷移経路が量子力学的に干渉する。この過程では、光子を吸収したことによる試料分子の電子励起が、配向依存性をもつ。このため、最終的に試料分子の配向が誘起される。絶対位相を含めた形で光ポーリング過程を再考する過程で、絶対位相を互いに共有する2つのパルスを用いた場合、光ポーリングの効率がそれらのパルスの絶対位相に依存することが予想された。 そこで、絶対位相制御された出力パルスのスペクトルのうち、1600nm、800nmのスペクトル成分をそれぞれω、2ωパルスとして用い、光ポーリング過程によりアゾ色素試料中に分子配向を誘起させた。そして、その分子配向が発生させる第二高調波信号を測定することにより、光ポーリング過程の効率が、入射パルスの絶対位相により制御されることを示した。 従来、絶対位相は、時間的に非常に短い光パルスについてのみ意味のあるパラメータであり、かつ超高強度レーザーを用いないと測定できないと、専門家の間でも認識されてきた。今回、この「常識」を覆して、比較的弱いレーザーを用いて測定した。それに加えて、分子の配向制御といった、分子運動、引いては化学反応を制御し、反応生成物を高効率で得ることにもつながる新しい制御法を開発したことにより、絶対位相制御の有用性が更に高まったと言える。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)