2004 Fiscal Year Annual Research Report
フェムト秒超短レーザーパルスによる絶対位相制御とその応用
Project/Area Number |
04J10619
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
足立 俊輔 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超短レーザーパルス / 絶対位相制御 / 相互相関周波数分解光ゲート法 |
Research Abstract |
第一に、非共直線光パラメトリック増幅器(NOPA)から発生したアイドラ光の時間的圧縮を行った。本研究では、相互相関スペクトル分解光ゲート法(XFROG)と呼ばれる技術を用いてパルスのスペクトル位相を測定した。その上で可変形鏡を用いた最適化制御により高次のスペクトル位相分散まで含めた分散補償により、対象のアイドラ光のパルス幅を4.3フェムト秒まで圧縮することに成功した。この数字は、アイドラ光のスペクトルから計算されるフーリエ限界パルス幅の4.0フェムト秒にほぼ一致しており、最適化制御が適切に行われたことを意味する。また、アイドラ光の中心波長970nmに対する搬送波の周期に換算すると、4.3フェムト秒は1.3周期に相当しており、可視・近赤外光領域における光サイクル数としては世界最短のレーザーパルスである。 引き続いて、アイドラ光の絶対位相制御を扱った。アイドラ光の800nm付近のスペクトル成分と、NOPAの機構で副次的に発生したアイドラ光の第二高調波の同じく800nm付近のスペクトル成分を干渉させることにより、「f-to-2fスペクトル干渉」を行う。ここで得られたスペクトル干渉パターンを元に、フーリエ変換フィルタ法によりスペクトル位相を再構成する。その結果を、NOPAのポンプ光の経路に挿入されたフッ化カルシウム基板の角度を制御する回転ステージにフィードバックすると、フッ化カルシウム中での物質分散によりポンプ光の絶対位相は影響を受ける。更にその変化がNOPAにおいてアイドラ光に受け渡されることで、アイドラ光の絶対位相制御は実現されている。以上の機構を用いた系に関して、絶対位相の長時間安定性が評価され、引き続いて行われるべき、絶対位相に依存した物理現象を解明する実験に堪えうることが示された。現在は、この装置を用い、光ポーリング過程の絶対位相依存性についての実験研究をおこなっている。
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Research Products
(2 results)