樹状突起における非線形な入力加算を考慮した大脳皮質の神経回路モデルの研究
Project/Area Number |
04J10834
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Neuroscience in general
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
森田 賢治 東京大学, 生産技術研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2005
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2005)
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Budget Amount *help |
¥1,900,000 (Direct Cost: ¥1,900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | GABA / 樹状突起 / 非線形力学系 / 分岐 / 神経回路 / ニューラルネットワーク / 大脳皮質 / 平衡電位 |
Research Abstract |
前年度に得られた単一神経細胞および神経回路網の数理モデルの動特性についての解析結果を踏まえて、より具体的な高次脳活動・機能に関わる研究へと展開を図った。大脳皮質においては、神経細胞集団が30-80Hz程度の振動的活動を示すγ振動と呼ばれる現象が知られており、短期記憶、作業記憶、注意など脳の高次機能への関与が近年盛んに研究されている。そのγ振動の発生や維持にはGABA性神経細胞を含めた局所回路の動特性が大きく関わることが明らかとなってきた。そこで、そうしたγ振動に起因する振動的入力を受けた場合の神経細胞及び神経集団の出力・応答特性に着目し、GABAA受容体塩化物イオンチャネルの反転電位(以下GABA反転電位と略記)によって振舞いがどのように変わりうるかも含め理論的に解析した。具体的には、興奮性とGABA性という2種類の周期的入力を、前年度の研究結果を踏まえて検討した神経細胞および神経集団の数理モデルに入力として与え、それらの位相差によって出力応答がどのように変わるかをシミュレーションおよび分岐解析によって調べた。その結果、体性感覚野の錐体細胞などで実際に報告されたようにGABA入力の反転電位が静止電位よりも少し高い条件下では、位相差が小さい場合にはGABA性入力が抑制的に働く一方、位相差が大きい場合には同じGABA性入力は促進性の効果をも持ちうることを示した。また、入力conductance波形の時間幅が長く確率的ノイズが存在する条件の下で多数の神経細胞からなる集団を解析し、2種類の周期入力の位相差が、平均発火率のなめらかな両方向性の変化に変換される可能性を指摘した。このような変換特性が、大脳皮質の局所回路のレベルでの、神経情報コーディングの変換の機構として機能している可能性が示唆される。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)