神経振動場と身体性に基づく情動・知覚・行動の相互創発に関する研究
Project/Area Number |
04J11492
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Intelligent informatics
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
米倉 将吾 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥2,300,000 (Direct Cost: ¥2,300,000)
Fiscal Year 2006: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2005: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2004: ¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
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Keywords | 情動 / 不協和 / 創発 / 闘争か逃走 / 抑圧 / 制約緩和システム / ジレンマ / ニューラルネットワーク / バーストニューロン / 身体性 / 神経-筋骨格モデル / 力学系 / ニューロモジュレーション / 神経振動場 |
Research Abstract |
従来のロボットによる情動研究では情動をシンボル化し、中身をブラックボックスとして扱っていた。これに対し本研究では、情動は環境一身体一神経振動場の相互作用によって知覚・行動と不可分な形で創発されるという作業仮説のもと、情動の本質レベルにおけるモデルを模索してきた。 前年度までにおいて、(1)闘争一逃走といった、相反する2つの刺激応答パターンが神経振動場と神経修飾物質を用いて構成可能であること。(2)多自由度ロボットにおいて、すくみ応答を環境・身体・神経振動場の相互作用のうちに創発可能であること。(3)恐怖という情動が創発されるためにはエージェント内に行為への意思が存在し、かつ、その行為が抑圧を受け、矛盾が生じる必要性がある事、などを示してきた。また、これらと並行し、エージェントの物理シミュレーション環境の整備を行ってきた。 本年度では、情動を大きく一般化する事から始めた。例えば、イソップ童話の狐は、美味しそうな、しかし手の届かない葡萄を前に、「あの葡萄は酸っぱい」と呟き、葡萄を酸っぱいものと思う事で、食べたいけれど食べられない矛盾を解消する。従来からこの問題は「認知的不協和解消問題」として、認知科学の分野で盛んに研究されており、近年では制約緩和問題としてニューラルネットワークを用いた計算論的モデルも提案されている。しかし、従来の計算論的モデルは身体性が欠如していたがゆえに、その説明対象が認知的プロセスに限定されており、情動はその説明対象と成り得ていなかった。 ところで、怒りは「ある質問に答えなくてはならないが、答えられない」という矛盾を、(たとえば喚き散らすことで相手を黙らせた上で)質問自体を反故にする事により解消するような行為であり、また、恐怖は、「逃げたいけれど逃げられない」という矛盾を、逃げるという意思自体を失神のうちに放棄する事により解消するような行為である。以上から本研究では、従来の計算的な認知的不協和解消モデルを身体性まで含むモデルに拡張し、情動を矛盾・不協和解消という観点から体系的に説明する事を試みた。この際、「行動動機」セットと、各々の行動動機に対する「不協和検出」セットを構成要素とするニューラルネットワークを構築し、ロボットエージェントの行動生成実験を行った。これらの結果として、種々の情動的な振る舞いが非常に簡単なモデルにより説明可能である事を明らかにした。さらに、行動動機セットに「大げさなランダム運動」を組み込んでいた場合には、「ある時刻における不協和を解消するための最適行動により時刻t1においては新たな不協和が生じる」といった時空間的ジレンマが創発的に解消される事を明らかにした。これらの成果は学会で発表予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)