古代メソポタミアにおけるシュメル語祈祷シュイラの研究
Project/Area Number |
04J11820
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Religious studies
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Research Institution | University of Tsukuba |
Research Fellow |
柴田 大輔 筑波大学, 大学院人文社会科学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2004 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥3,400,000 (Direct Cost: ¥3,400,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2004: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | メソポタミア / 祈祷 / 祭儀 / 祭儀解釈 / 王権 / 神学 / 名前 / マルドゥク / 国際研究者交流 / 楔形文字文書 |
Research Abstract |
本年度は、シュメル語シュイラ祈祷の宗教史的背景の研究を行った。就中、シュイラ祈祷が朗詠された祭儀過程の特定、当時の神学的言説における当該祭儀の解釈の検討、各祈祷文の伝承の研究に重点が置かれた。それら研究成果の一部は学術論文の形で本年度発表された。以下、発表された成果を具体例に挙げながら、研究成果の概要を記す。 『史境』53号論文において以下の事柄を明らかにした。古代メソポタミアの諸都市において開催された年間祭儀では、神殿内に祀られた神像を神殿外へと運び出し行進する祭儀が行われた。シュイラ祈祷の大半は、それら行進祭の最後に帰還した神に対して唱えられた。当時の神学的言説において、行進祭は、神々の戦の神話と関係づけられて解釈されたが、それら祭儀解釈によれば、シュイラ祈祷は、「戦」と解された祭儀によって「興奮した」神を「宥める」ことにより、行進祭に続く「王権の確定」を恙無く執り行うために唱えられた。 『オリエント』49号論文では、マルドゥク神の祈祷「勇士、逆巻く洪水」を取り上げ、以下の事柄を明らかにした。半ば万能の神とされたマルドゥク神は多くの属性を所有していたが、それら様々な属性は、その別名によって体現された。当該祈祷文の呼びかけ部分には、これら様々な別名のリストが記されており、さらに一部の別名の後には奇怪な称号が付記されている。これら称号は、先行するマルドゥク神の別名の「意味」を説明する称号である。当該祈祷における別名のリストは、他の祈祷文呼びかけ部分にも登場するマルドゥク神の別名スタンダードリストに特種な別名を追加し、それら追加した別名にのみ称号を付与することによって構成された。問題となる特種な別名は、この神の持つ属性の内でも祈祷にとって重要な属性を喚起するため、別名リストに加えられ、さらに、別名によって体現される属性を明確にするためそれぞれ説明的称号が付与された。
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Report
(3 results)
Research Products
(3 results)