Budget Amount *help |
¥3,300,000 (Direct Cost: ¥3,300,000)
Fiscal Year 2007: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2005: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Research Abstract |
自分の位置や移動に関する情報は人間の知覚の枠組みを決定している.しかし,実験統制の難しさゆえにそのメカニズム解明のための研究はすすんでいない.本研究では最先端のバーチャル・リアリティ装置を駆使することによって厳密に実験統制を行ない,この問題にアプローチした.まず,自己運動情報が物体認識に与える影響を検討した.物体の見えは自己運動(視点移動)によって時々刻々変化し,遮蔽等により見えない部分が発生するにもかかわらず,我々は容易に当該物体を認識できる.こうした日常経験は「自己運動に合わせて内部表現をアップデートさせる」という補正メカニズムの存在を示唆する.この仮説を検証すべく,頭部装着型視覚刺激呈示装置及び頭部位置検出システムを用いて,観察者の実際の動きに合わせて物体の見えを制御し,実験を行った.その結果,観察者の自己運動による視点変換は,物体自身を回転させることによる視点変換よりも物体認識を向上させることが認められた.その後の詳細な検討によって,観察者が実際に動かなくても,視点変換に関する動的視覚情報が与えられれば物体認識が向上することがわかった.本実験の成果は国際論文誌に投稿し,現在審査中である.次に,視覚的自己運動情報が聴覚的物体運動知覚に及ぼす影響を検討した.自己運動時には,外部対象は相対的に運動する.自己運動時に安定した世界を知覚するためには,この自己の動き由来の運動刺激と外部対象自体の動きを区別する必要がある.本実験はその聴覚メカニズムを明らかにするためのものであった.その結果,与えられた自己運動方向と逆方向に運動する聴覚対象に対する感受性が低下するグループと自己運動方向と順方向に運動する聴覚対象に対する感受性が低下するグループが認められた.これはおそらく受聴者が判断に用いた基準座標系の相違によるものと考えられた.この点を統制した検討を現在もすすめている.
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