Project/Area Number |
05J01483
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Japanese literature
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Research Institution | The University of Tokyo (2006) Kyoto University (2005) |
Principal Investigator |
酒井 あすか (阿尾 あすか) 東京大学, 大学院人文社会系研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2005 – 2006
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2006)
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Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2006: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
Fiscal Year 2005: ¥600,000 (Direct Cost: ¥600,000)
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Keywords | 花園院 / 『風雅和歌集』 / 後期京極派歌人 / 京極派和歌 / 比較文学 / 表現研究 / 和歌 / 中世文学 / 後期京極派和歌 / 光厳院 / 宋詩 / 禅宗 / 隠遁志向 / 和歌観 |
Research Abstract |
京極派和歌、特に後期京極派和歌の表現には漢文学の影響が見られる。以前、私は後期京極派の指導者である花園院の和歌観と宋代の詩論との関わりを検討し、宋代の詩論によって後期京極派が前期京極派とは多少差異のある和歌観を獲得するに至ったことを指摘した。これに加えて後期京極派の歌風形成段階の途上では、花園院の『古今和歌集』に対する強い意識が働いていることも窺われる。京極派和歌における『古今和歌集』の影響については従来の研究では指摘されておらず、むしろ古今集的歌風と対極的にあるものとして京極派歌風を捉えるものが多い。平成十八年和歌文学会での口頭発表「後期京極派和歌における紀貫之の評価」では、『古今和歌集』撰者の紀貫之を花園院が高く評価していることを指摘した上で、貫之の歌風の一側面として挙げられる説明的、理知的な要素が、花園院の和歌の嗜好と共通することを述べた。花園院は『花園天皇宸記』において、藤原定家、俊成と並んで貫之を自らの歌の手本としており、同院監修の『風雅和歌集』においても紀貫之の所収歌数は藤原俊成と同数であるなど、花園院の、古歌人の中での紀貫之の評価は高いといってよい。この傾向は京極派においてのみのものであり、同時代の二条派での紀貫之の評価はあまり高いものではなかった。また、前期京極派においても紀貫之は『玉葉和歌集』春部上の巻頭歌を飾るなど高い評価ではあったが、『玉葉和歌集』所収歌数からも後期京極派ほど古歌人の中で突出した評価を与えられているとはいえない。貫之の再評価が後期京極派歌風の在り方に指針を示すものであったと言うことができる。現在執筆中の「後期京極派と紀貫之『風雅和歌集』所収歌をめぐって」は上記の口頭発表をまとめたものであるが、更に検討を加え、紀貫之歌風の説明的で明晰過ぎる性格が同時代の二条派などでは紀貫之評価の下落に繋がっており、後期京極派においてはそのことに対する反発が紀貫之を更に評価する方向へと傾いたことを指摘する。また、そのような後期京極派和歌における、古典回帰の動きは、宋代詩論において説かれた古典重視の説と連動するものであったと考えうる。最終的に執筆論文においては以上のことまでを論じる予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)