Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
本研究の目的は,希薄磁性半導体中の磁性イオンの局所構造,電子状態を解析し,その強磁性発現機構を解明する事である. ワイドギャップ半導体であるZnO, GaN, Ga_2O_3に3d遷移金属を添加した固体セラミックス試料および薄膜試料の作成し,構造解析,磁気特性評価を行った.また,これらの試料について,遷移金属元素の局所環境を解明するために,第3世代の放射光施設を利用して遷移金属のX線L_<2,3>吸収端近傍微細構造(XANES)の測定を行った.得られたスペクトルを解析するために,遷移金属の価数,スピン状態,配位数を変化させた様々な固溶モデルを仮定し,各モデルについて理論スペクトルの計算を行った.遷移金属のL_<2,3>X線吸収端近傍微細構造の理論解析には,内殻軌道のスピン軌道相互作用と3d電子個々のクーロン相互作用をあらわに取り扱う必要があるため,新たに開発した相対論多電子系の第一原理計算手法を用いた.得られた理論スペクトルを実験スペクトルと照合することにより,希薄磁性半導体中の磁性イオンの価数,スピン状態,配位数などを解明することに成功した. 例えば,室温で常磁性を示すMn添加ZnO試料においては,Mnは全て2価,高スピン状態でZnサイトを置換しており,MnがZnサイトを単純置換した場合は,強磁性は発現されないということが示唆された.一方,室温で強磁性を示すMn添加GaN薄膜においては,主にMnは2価,高スピン状態でGaサイトを置換するが,一部3価のMnが共存しており,これが室温強磁性発現に深く関与していると考えられる.
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