Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
1.「大陸沿岸遺存生態系」の特徴を最も強く保存していると考えられる筑後川の低塩分汽水域を中心に,生物生産が盛んになる春季と夏季に環境と生物相の集中調査を行った.春季には,粒状有機物と動物プランクトンおよび仔稚魚の分布と密度について2ヶ月間に4回(いずれも大潮)の調査を行い,特に水温との関係を調べた.その結果,水温上昇にともなって低塩分汽水域の植物プランクトンの密度が増加していたことが分かった.夏季には,粒状有機物と動物プランクトンの分布と密度について3ヶ月間に12回(大潮,中潮,小潮を含む)の高頻度調査を行い,特に河川流量との関係を調べた.その結果,出水前は大潮に高濁度かつ高デトライタスであり,小潮に低濁度かつ高植物プランクトンであったが,出水後しばらくは明瞭な傾向が失われるということが分かった.現在は2007年の季節変動をより詳しく把握するとともに,2005年および2006年の調査の結果と比較して,年変動の程度とその要因の解析を行っている.2.「大陸沿岸遺存生態系」の原型が存在すると考えられる韓国西岸の群山(クンサン)の河口域において,韓国国立慶尚大学と1年間に4回(季節ごと)の合同調査を行い,一部の試料を日本に持ち帰って分析した.その結果,有明海特産魚7種のうちの4種について,同種または同属の種が生息していることを確認した.一方,粒状有機物の分布と密度については,筑後川とは異なる特徴を有すると推察された.現在は,日本に持ち帰った試料の詳しい分析を進めるとともに,慶尚大学における分析の結果を合わせて,筑後川の生態系との比較を行っている.これまでの研究を総合することにより,「大陸沿岸遺存生態系」の骨格を詳細に解明できると考えている.
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