東南アジア・オセアニアにおけるキダチトウガラシの分布及び伝播
Project/Area Number |
05J02318
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Boundary agriculture
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山本 宗立 Kyoto University, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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Project Period (FY) |
2005 – 2007
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2007)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2007: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Keywords | キダチトウガラシ / 民族植物学 / 台湾 / バタン諸島 / タイ / ラオス / アイソザイム分析 / 利用方法 / 形態的特徴 / 系統分類 / 光周期 / 花芽分化 / 台湾原住民 |
Research Abstract |
キダチトウガラシ(Capsicum frutescens L.)の分布や伝播を探るため、台湾原住民やフィリピンのバタン諸島におけるキダチトウガラシの呼称及び利用方法の聞き取調査をおこなった。その結果、バタン諸島におけるトウガラシ属の呼称が、一部の台湾原住民に用いられていることがわかり、南から北ヘトウガラシ属が伝播したことが裏付けられた。また、東南アジアの大陸部には分布せず、インドネシアと南西諸島にのみ分布していることが明らかになっているシキミ酸脱水素酵素B型(ShDH-B)の分布について、キダチトウガラシ台湾100系統とバタン諸島93系統を調べたところ、台湾20系統とバタン諸島20系統がShDH-Bを示した。南西諸島系統の果実の緑熟色が黄緑色であるのに対し、ShDH-Bを示した台湾・バタン諸島系統群には緑色・黄緑色の両方のタイプが存在したことから、ShDH-Bコンプレックス(緑色・黄緑色)がインドネシアからバタン諸島・台湾へ伝播し、その後ボトルネック効果によって黄緑色タイプのみが南西諸島へ伝播したと推定された。さらに、北タイと中南部ラオスにおいて、トウガラシ属の文化資源としての利用方法を調査した結果、北タイのカレンが農耕儀礼のときにキダチトウガラシの果実を祠へ捧げること、麹を作るときに儀礼的にトウガラシ属の果実と炭を麹の上に置くこと、また中南部ラオスの一部の少数民族は麹を作るときにトウガラシ属の果実を混ぜることがわかった。アジア・オセアニアにおいて、現在トウガラシ属がどのように文化資源として利用されているかを詳細に研究することは、栽培植物としてのトウガラシ属の研究とともに、トウガラシ属が導入される以前のアジア・オセァニアにおける栽培植物の利用や文化構造を明らかにする研究につながると考えられ、トウガラシ属の遺伝・文化資源を今後も綿密に調査する必要がある。
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Report
(3 results)
Research Products
(6 results)