Budget Amount *help |
¥1,800,000 (Direct Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2006: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2005: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
融液からの半導体結晶成長時には,振動化した温度差マランゴニ対流が不純物縞の生成要因となることが明らかとなっており,このような材料プロセスによる製品の高品質化・技術向上においては,マランゴニ対流の理解と制御が必要不可欠である.金属融体に代表される低プラントル数流体では,これまで実験的研究と数値解析的研究で,流れの駆動力であるマランゴニ数に大きなギャップがあることが相互理解の妨げとなってきた.特に,実験的に低駆動力流れを実現することが戦略的な要求となっている. 本研究では,従来用いられてきたハーフゾーン液柱において,自由表面の一部を酸化膜などで覆うことで,実験的に低駆動力流れを実現できる可能性に着目し,このモデルにおける流れの理解を目的とした数値解析的研究を進めてきた.前年度までに,自由表面を局在化した場合には,通常の液柱系では見られない,軸対称定常流から振動流への直接遷移が起こることを見出した.本年度は,この系における不安定性メカニズムについて整理し,体系的な理解を与えることを目的として,さらに詳細なエネルギー解析を広範な幾何学条件について実施した.結論として得られた知見は以下である. 低温ディスクと自由表面とが直接接続されているか否かが,不安定性の変化における幾何学的な要件である.直接接続されている場合には,軸対称定常流の安定臨界マランゴニ数が通常のハーフゾーンと同程度で,不安定性メカニズムが常に同一となるため,実験的に低駆動力流れの実現する場合に従来のハーフゾーンの代替として有効であると結論した.流れ場の対称性を表す周方向波数については,幾何学条件への依存性として本研究で経験則を提示した.一方,低温ディスクと自由表面との間に固体膜が設けられている場合には,自由表面を局在化する割合によって,少なくとも4種類の異なる不安定性メカニズムが出現し,このうち2つは通常液柱では見られない振動型の不安定性である.楕円型不安定性が幾何学形状に大きく依存し,遠心力不安定性とのバランスが変化することが,全体との不安定性の多様化において支配的な要因である.これらの成果の一部は日本金属学会,日本機械学会などで報告し,Physics of Fluidsなどの学術雑誌にて発表した.
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